類は友を呼ぶ

原稿がないときの暇な貝瀬によるカラオケ擬人化!という設定なのですが
もう完全に自分が楽しい擬人化になっております
それでもいい人だけスクロール!

UGA=浦ヶ崎(URAGASAKI):リア充系不良
DAM=団間(DANMA):クラスの委員長
JOY=城谷(JOYA):目立たないオタク
三人とも男・恋愛関係は抜きで友達同士っぽい感じであります




















「なあ、おまえ、そんなちっさいバーガー一個で足りんの?」
両手にクオーターパウンダーを一個ずつ持った浦ヶ崎が問いかけた。
「いや、おまえは食いすぎだろ」
城谷はそう答えてハンバーガーに食いついた。
「城谷君は少食だもんねえ」
団間はひたすらポテトを食っている。マクドナルドに来てポテトしか食べないというのも奇異だ、と城谷は考えている。まあ、団間は変わり者だから違和感はないのだが。
「ところで、『待ちうた』ってどう思う」
浦ヶ崎の主な特徴は、いきなり関係ない話を始めるところである。
「『待ちうた』って?」
城谷が訊くと、団間がくわしく説明してくれた。
電話をかけてきた相手に、自分の好きな曲を着信音として聴かせるサービスらしい。
「俺はあんまり好きじゃないんだよなあ」
と、浦ヶ崎はその鋭い目をさらに鋭くした。ガンを飛ばしている不良にしか見えないが、これが彼のデフォルトである。
「だってさ、他人に自分の好きな音楽を聴かせる、なんて傲慢じゃねえ? 自分の好きな曲は他人も好きだ、っていうのが前提なわけで」
「確かに、俺の好きなものは絶対お前の好きなもの!だなんて、いわゆるリア充思考だよな」
団間はうんうんと頷いている。城谷は待ちうたというものを聞かされたことがないのでよくわからなかったが、他人の携帯電話に電話をかけて、相手が出る前に嫌いな音楽が流れてくる、という事態を想像してみて、鳥肌が立つような気がした。
「音楽を愛してるなら、そんなことしないよね」
城谷が思わず言った言葉を聞き、浦ヶ崎が腹を抱えて笑いだす。
「出た、城谷の『音楽を愛してる』発言! おまえ、その言葉、好きだよなあ」
「浦ヶ崎、笑うなよ。城谷は本当に音楽が好きなんだよ」
「いやごめん、城谷の気持ちはわかるよ。俺も音楽大好きだし?」
浦ヶ崎は笑うのをやめて真顔に戻った。団間も隣で頷いている。
そもそも、浦ヶ崎、団間、城谷というこの三人が友達になったのは、三人とも音楽が大好きだったからだ。ヒットチャートに上るような有名な邦楽をかじった程度のファンではなく、自分の部屋の中がCDで埋め尽くされているような音楽オタクであること、それが三人の共通項だ。
浦ヶ崎はクラスを代表する不良であり、城谷は教室で最も目立たない影の存在である。クラスの委員長で、交友関係の広い団間という男と知りあわなければ、浦ヶ崎と城谷がこうして一緒に飯を食べることなんてなかっただろう。
「でも、どんだけ愛してても、なかなか照れ臭くて言えねーと俺は思うんだよな。だから、そうやって愛を公言できる城谷は、実はカッケーのかもしれねえ」
浦ヶ崎はそう言って、クオーターパウンダーの残りをもしゃもしゃと喰らった。
「ぼくは、そんなつもりで言ったんじゃないのだけれど」
城谷は少し目を伏せてから、団間の方を見た。
「まあまあ、ほめられてるんだから、素直に受け取っておけばいいんだよ」
団間はにっこり笑った。城谷は、団間がこの空間にいてくれてよかった、と思う。
浦ヶ崎の方はどうなのか知らないが、城谷は浦ヶ崎という男のことがよくわからない。音楽という共通項がなければ、絶対に知りあわないタイプ。明るくて、いつでも友達とバカなことを言って笑い合って、いかにもリアルに充実していそうな浦ヶ崎。彼はとてもまぶしい。一方、城谷はオタクだ。浦ヶ崎と団間以外の友達も、どこかぱっとしない外見の、おとなしいやつばかり。浦ヶ崎に軽蔑されていないか、城谷はいつも心配だった。
「で、話は戻るけど待ちうただよ。俺は絶対にあれが気に食わん。心が狭いと言われてもかまわん」
浦ヶ崎は、クオーターパウンダーがなくなって空いた片手を大げさに振ってアピールする。
「ぼくは別に許せないとは思わないけれど、なんとなく不条理さを感じるのは認める」
団間はポテトを三本まとめて口に入れながら言った。
「城谷は?」
「ぼくはよくわからないな。嫌いな曲だったら嫌だろう、って思うだけ」
「それでじゅうぶんだ。城谷も待ちうた反対党に入れよ」
「反対党ってなんだよ」
団間がおかしそうに笑んだ。
「待ちうたに反対する党だよ。党首は俺様、浦ヶ崎だ」
「おまえが党首じゃ当選は無理だ、なんせ茶髪だからな」
団間は実にずけずけとものを言う。団間と浦ヶ崎はどの程度の知り合いなのだろう、と城谷は思う。
城谷と団間は中学のころからの友達同士だが、城谷は、浦ヶ崎がいつから団間と親しいのかは知らない。
「うるせえ、茶髪を差別するな」
「はは、怖いな」
浦ヶ崎は団間を睨みつけたが、団間は平然としている。その様子を見ていると、この二人はおそらくかなり親しいのだ、と思う。だって、城谷は浦ヶ崎に睨まれたらちょっと怖いと感じてしまう。浦ヶ崎は悪い奴じゃないけれど、その目付きの悪さはヤクザ並みなのだ。
「なあ、これからカラオケに行こうぜ」
浦ヶ崎がそう提案して、残りのクオーターパウンダーを一気に口に押し込んだ。
「ぼくはいいけど、城谷はどうする?」
団間がそう言って城谷を見た。
「ぼくも大丈夫だよ」
城谷がそう答えると、浦ヶ崎は嬉しそうに目を細めて笑った。
少し、嬉しくなった。
その一瞬で、浦ヶ崎は自分を友達として認めてくれているんだと、わかったから。
「よし、じゃあ待ちうた反対党の集会だな!」
「いやいや、勝手に変な仲間にするなよ」
「うるせえ、俺が法律だ」
「じゃあ俺はガンダムだ」
「じゃあ俺もガンダムだ」
「おい、変なところで結託するなよ。城谷がそんな冗談言うなんて意外だぜ」
浦ヶ崎がまた、おかしそうに腹を抱えて笑った。
城谷と団間も釣られて笑う。
これから行くカラオケも、きっと楽しいだろう。
待ちうたは嫌いだと言う浦ヶ崎だけれど、自分は浦ヶ崎の好きな曲くらい、聞いてやってもかまわない。
それが、友達っていうことだろうか。
城谷は、笑いながらそう思った。




100427


以下、貝瀬さんに設定コメントしていただきましょう。

DAMの優しさはクラスの中心的な明るくて気のきく万能委員長タイプ
JOYの優しさは一見地味で目立たないかと思いきや付き合ってみるとちょっと変わっていて でも悪い奴ではない一匹オオカミタイプ
UGAはおちゃらけた不良だけどときどき音楽オタのマイナーっぷりを発揮する軽音楽部のドラムタイプ

UGA→気のいいヤンキー
若干テンション空回り気味
特技はどや顔
とにかく明るくて悩みがなさそうだと人に思われていることを気にかけている

DAM→クラスの人気者
若干KYでお節介焼き
わりと万能だが、万能かつ人気者であるがゆえにはみだしっ子の気持ちがわからない
やたらと世話を焼きたがるがどっか抜けてる天然

JOY→器用貧乏オタク
変わり者
普段は教室の隅っこでひっそり音楽聴いてる目立たない子
コンプレックス持ちのめんどくさい人だが気遣いだけは一流
自意識過剰


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貝瀬「どうよ!ちなみにわたしはJOY総受けね!!」
松浦「なんだろう、設定には感心したけど最後に付け加えられた総受け情報が妙に気に食わない」
青木「ぼくはUGA受けで」
松浦「おまえも喫茶店でコーヒーを注文するような口調で言うな!」
貝瀬「つまり青木とは対抗カプ……チッ!」
松浦「ぼくにはわからない世界すぎます」
せめて女の子がまじっていたら理解できるのに……と思う松浦なのだった