『 ボク存在説 』
遠くで子供の泣く声が聞こえる。たぶん、あれは子供の頃の自分の声なのだ。
誰も愛してなんかくれず、必要とされることもなく、ただ生きることだけを強要されて――少年は歩きつづけた。
生きることは楽しくなんかなく。
死ぬことはたぶん幸せなんだろうと思った。
自分が消えてなくなれたら、みんな幸せになれると思った。
この世の資源を無駄に食いつぶすだけで。
何も生み出さない自分のことなど、誰も見ていないのだから。
孤独を背負って、自分を嫌って、誰にも見られないまま、死ぬ。
そんな人生だから、少年はまだ遠くで泣きつづけているのだろう。
自分はここにいても、少年は泣きつづける。
自分が死ぬまで、ずっと。
自分は少年の抜けがらで、少年は自分を抜けがらだと思っているのだから。
――結局のところ、ボクはどこにも存在しない。
2011年07月25日(月)
『ボク存在説』byメトロノーム のイメージで。
『ボク』という存在を消し去って行くのが、
『大人』になるということ。
だから、きっと僕は大人なのでしょう、あなたと同じで。