2022年2月8日の投稿[1件]

乗代 雄介「皆のあらばしり」を読んだ。
第166回芥川賞候補作。

高校の部活動の歴史研究のため、皆川城址を訪れた高校生の主人公は、怪しい関西弁風の中年男と出会う。男の目的は、旧家の好事家が蔵書目録に残した幻の本「皆のあらばしり」を見つけ出すこと。素性も職業も不詳の怪しい男の誘いに乗せられ、幻の本を探す知の旅へ漕ぎ出すことに。果たして、そこにあるのは、未発見のレア本なのか、それとも単なる偽書なのか……。

純文学とミステリと歴史学の合間を攻めていくような独自の構成や、男と主人公の会話が作品のほとんどを占めているインテリな雰囲気がすごく好きだった。
芥川賞候補なので、はっきりとわかりやすい答えが出るわけではないのだけれど、最後まで魅力的な謎でひっぱっていってくれる、良質な『ミステリ風』小説だったと思う。
此元和津也「セトウツミ」が好きな人にはかなりおすすめできそう。

#読書

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