2022年5月9日の投稿[1件]

「くりぃむナンタラ」(2022年5月8日放送分)を見た。
錦鯉らで検証!「もうええわ」を言わなかったら漫才はどうなる?

錦鯉、コロコロチキチキペッパーズ、モグライダー、かもめんたるが出演。
ツッコミ担当が、漫才中に『締めのセリフ』を言わずに相方を放置したら何が起きるのか?という、以前にギャラクシー賞を受賞したドッキリ実験。
ドッキリ企画は苦手だが、これは漫才という特殊な演目の構造に対しての興味深い実験になっていて、見ごたえがあった。

困惑して別の漫才で使っている締めのネタや一発ギャグを連続で繰り出すまさのりさん、戸惑いながらキレまくるナダル、無秩序なエピソードトークをお客さんに話しまくって芝さんの出方を待つともしげさん。

ここまではある意味予想通りなのだが、最大の見所はラストのかもめんたる。
番組予想では、「う大さんは『ネタの鬼』なのでネタ中にマジギレするのではないか?」という感じの扱いだったのだが、実際は漫才の世界観を保ったままで、もとのネタに存在しない新たな展開をやるという胆力を見せていて、すごくおもしろかった。
かもめんたるの漫才が好きな人は必見。

錦鯉、コロチキ、モグライダーの三組はあまりアドリブが効くタイプではないし、決められた漫才の型をすごく大事にする人たちなので、どうにか『かつて、別の場面で使った型』を流用することでしのごうとする。

しかし、かもめんたるはもともと、漫才を演劇の一形態として捉えている。
槙尾さんが締めのセリフを言わないというハプニングに対し、最初は「次に言うセリフをこっそり耳打ちする」ことで対処しようとするが、通じない。
すると、う大さんが自分の力で展開を変えて、即興劇によってどうにかしようとする……他の三組とは明確に違う姿勢を打ち出している。
『漫才』という型にこだわりつづける限りは、ツッコミがきれいに場を終わらせなければネタが終わらない。そういう伝統に頼ってしまっているからだ。
が、『演劇』であれば、他の出演者が場を補強することで持たせることができる。
その場の空気を壊さず、完成度を高めようとする姿勢がよかったと思う。
まさのりさんやナダル、ともしげさんは「こんなのはおかしい、早く終わらせたい」と強く思っていたのに対して、う大さんは「もっと即興でいろいろやりたい」と思っていそうなのも楽しい。
う大さんの漫才へのこだわりを、すごく効果的に演出している番組だった。

#視聴メモ

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