2022年8月9日の投稿[1件]

楠谷 佑「ルームメイトと謎解きを」、読了。

わけありの生徒たちが集う、ぼろぼろの男子寮「あすなろ館」。
昨年、とある事件が起きたため、寮生の数は減る一方。
そんなあすなろ館に動物大好きの変人・鷹宮絵愛が転入してくる。
鷹宮と同室になってしまった兎川雛太は、最初は鷹宮の身勝手さや変人ぶりに戸惑うが、徐々に友情を育んでいく。
しかし、ある日、学内で絶対的な権力を持っていた生徒会長が殺害される。
容疑者は、全員があすなろ館の仲間たち。
はたして、ふたりは事件の謎を解き明かすことができるのか。

文体はかなりライトで、設定や表紙絵もかなりキャラミスの王道っぽい感じなのだが、コンセプトは意外にも本格寄り。
終盤での華麗なる消去法推理はたまらない。
派手さはまったくないが、本格とは本来こういう形であるべきなのかもしれない。

おそらく、推理はせずにミステリの定石部分だけ見ていた人は、見事にミスリードに引っかかってしまうはず。
絶妙に紛らわしいヒントが出てくるのが憎い。
雑な予想とかではなく、まじめに推理と向き合った人だけがたどり着ける真相がいいなあ。

「変人でコミュニケーション能力がないタイプのホームズ役、社会に出たら絶対いじめられるよね!?」と常々思ってる人的には、「変人ホームズを高校に転入させたらどうなるか?」という実験としてもなかなか楽しめたり。

こういう愚直で泥臭い推理をする作品が急に飛び出してくるから、本格推理開拓はやめられないぜ……。

#読書

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