2022年10月27日の投稿[1件]

積んでいた「春ゆきてレトロチカ」をプレイしている。今、第二章が終わったところ。

従来、たいていの推理ゲームは一本道であり、たったひとつの解答にたどり着くまで、総当たりすれば簡単にクリアできてしまうパターンが多かった。
常に正しい道への誘導を受けている状態では、プレイヤー自身の試行錯誤や論理の組み立てが介在できる余地は非常に少ないといえるだろう。
あの「逆転裁判」ですら、ほとんどの局面でプレイヤーは真実への誘導を受けつづけている。まっさらなところから犯人を特定しろと言われることはあまりない。

「春ゆきてレトロチカ」において、推理とは『謎』をつないで『仮説』を作り、その仮説をつなぎ合わせて真実を導くことである。間違った仮説をつないでしまうと、真実が導けない。
全体を見通しながら、たくさんの間違った仮説のなかからそれっぽい論理を探していく。犯人を追い詰めながら情報を集めるのではなく、最初に集め終わった情報を使って、一から自分の力で犯人を決めていく。
この作業は、これまでの推理ゲームにはあまりなかったもので、非常に新鮮だ。

ただし、論理運びにはやや不満が残る部分もある。
「それは証拠にしちゃいけないのでは?」とか、「そういう手がかりを重要視するのはやや好みに反する」というような要素がちょこちょこある。
以下、軽いネタバレなので、伏せ字で。(具体的な真相や犯人については伏せつつ)

特に気になるのは、決定的な証拠として「犯人があることに気づかなかった」という状況証拠を使っていること。
最近よく話題になる「犯人しか知りえないことを口走ったから犯人とは限らない」問題などの要素とやや似たものを感じるが、その人物がなにかに気づかなかったという事実は証拠にはなりえないと思う。
逆に、気づいたことであれば納得できるけれど、人間は機械ではないので、どれだけ気づく確率が高かったとしても、気づかないことはありえる。ぼーっとしていたとか、非常時で動転していたとか、理由はいくらでも考えられる。
なにかをしたことは物証で証明できるが、しなかったことには物証がないため、証明するのは難しい。
この事件の場合は、毒殺未遂事件が目の前で発生した直後(しかも犯人として疑われたばかり)という状況なので、動転して気づかない可能性は充分あると思う。
犯人をゆさぶる材料としては使えるかもしれないが、その人物が犯人であるという確証としてこれを用いているのは、不確実であり、ロジックとしてはやや不満だ。たぶん、このあたりは好みの問題だとは思うけれど。
そもそも、腕力を論拠にするのも、本格推理的には禁じ手だと思っているので、そういう意味でもすこし物足りない論理運びの話だった。畳む


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