2022年12月24日の投稿[1件]

久部緑郎・松本渚「文豪ナツメは料理人が嫌い」1巻を読む。

「らーめん才遊記」における芹沢人気を逆手に取り、「芹沢&ゆとりの力関係を逆転させ、ゆとりが完全に芹沢を支配できるようになったら、めちゃくちゃおもしろくない?」という狂気の発想で描かれている気がする漫画。

料理人の腕はいいのになぜか繁盛しない店に行き、料理人の苦悶の表情を眺めるのが趣味の、性格が死ぬほど悪い文豪・夏目潤一郎。
夏目の前に現れた、狂信的なファンの如月は、彼の人情小説を信奉するあまり、その非人道的な行いを正そうと、ひたすら暴走しつづける。
料理人の絶望を眺めるのが大好きだったはずの夏目は、如月に弱みを握られ、料理人たちの店を立て直すコンサルティングをやるはめになってしまう。
如月から逃れようとすればするほど、彼女の異常性に絡め取られていく夏目の明日はどっちだ!?……という話。

味は悪くないのに閑古鳥が鳴く店のコンサルティングがテーマという点は「らーめん才遊記」と変わらない。
ただ、夏目も如月も狂気に満ち満ちていて、もはやコンサルティングそのものはまったく主眼ではないというところがおもしろい。ほぼオマケ。
「らーめん才遊記」で芹沢さんがゆとりに振り回されてタジタジになっているシーンが好きな人に送る、「らーめん才遊記」のセルフ二次創作漫画に見えなくもないが、それにしては如月の狂気が強すぎる。
料理漫画でチェーンソーを振り回すヒロインなんて、「鉄鍋のジャン!」ばりにおかしいぜ……。
1巻の時点でここまでやってしまって、2巻以降いったいどうするつもりなのか。更生することはできるのか。むしろさらに暴走するのか。気になりすぎる。

なお、紙の本の帯には芹沢さん本人が推薦コメントを寄せている。
「天才ラーメン職人・超人気フードコーディネーター芹沢達也氏推薦!!!!!!」という文字がおもしろすぎる。

#読書

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