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2023年9月4日
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2023年9月4日(月)
千早茜「透明な夜の香り」を読んだ。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
「赤い月の香り」を読んだときも思ったけれど、「おもしろい!」とか「考えさせられる!」とかいうポジティブに娯楽的な作品ではなく、自分のなかに世界観が染み通っていくような作品で、とても好きだった。
恋愛小説ではなく、推理小説でもなく……ただただ背徳的で上品な世界観がよすぎる。
元・書店員の若宮一香はあるトラウマを抱えており、しばらく働いていなかった。新しい勤務先はレトロな洋館で、そこでは孤独な調香師・小川朔が依頼人の望む香りを作り出すという不可思議な仕事をしていた。鋭敏な嗅覚によって他人の個人情報を勝手に得てしまう朔の孤独に気づいた一香だが、朔も一香の抱える心の闇に気づいていた。
一香と朔の関係性があまりに好きすぎる。
「だれかを見捨てた」記憶を引け目に思っているところとか、すごく似ているふたりなのだろうと思う。
朔という人があまりに特殊な能力を持っているせいで、ふたりの関係性もどんどん歪になっていって、すべてが明かされてもなお、とても恋愛の関係には見えない。
でも、朔が一香をすごく強く思っているということは伝わってきて、終盤は、すべてが崩れていくような錯覚に陥った。
これを踏まえて、あらためて「赤い月の香り」の一香のシーンを読み直したいし、さらにその先の続きがあることにも期待したい。
#読書
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恋愛小説ではなく、推理小説でもなく……ただただ背徳的で上品な世界観がよすぎる。
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一香と朔の関係性があまりに好きすぎる。
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でも、朔が一香をすごく強く思っているということは伝わってきて、終盤は、すべてが崩れていくような錯覚に陥った。
これを踏まえて、あらためて「赤い月の香り」の一香のシーンを読み直したいし、さらにその先の続きがあることにも期待したい。
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