2024年3月12日の投稿[1件]

はやみねかおる「ぼくと先輩のマジカル・ライフ」(角川つばさ文庫)全2巻を読む。
初出が2003年ということで、「令和の倫理観に照らすとちょっとダメでは?」と思う箇所もあるが、いつものはやみねかおるのテンションで、安心して読める。

本人は自分を普通だと思っているが、実際のところはかなりの変人である語り手・井上快人。
幼なじみの川村春奈は本物の霊能力者で、霊能力を恐れない快人に好意を抱いているようだ。
快人は、大学に入学するにあたり、親からの仕送りを拒んだ結果、家賃月1万円の今川寮に住むことになってしまう。
変人だらけの今川寮のなかでも、もっとも得体のしれないオカルトマニアの変人・長曽我部慎太郎に目をつけられてしまったふたりは、「あやかし研究会」という部活に入会させられてしまう。
不可思議現象を研究しつつ、日常の謎を解いていく「あやかし研究会」。
長宗我部先輩と快人は、事件の謎を解くことができるのか。

本物の霊能力者というチートキャラを介しつつ、オカルトを理論で紐解いていく……という魅力的な導入で、なかなか好きなお話だった。
はやみねかおる作品の登場人物で大学生たちがメインというのはなかなか珍しい気がして、そこも新鮮で好きだなあ。

非常にもったいないのは、「長宗我部先輩は何者なのか?」という最大の謎が解かれないまま終わってしまうというところ。
大学に8年間通っている仙人のような先輩で、どうやらオカルトの力で人格が変わってしまうらしい、というフリだけを残し、謎めいたままフェードアウトしていくのがずるい。
夢水清志郎ポジションなんだと思うと、謎めいているほうが雰囲気としてはいい気もするが。
たぶん、シリーズ化していたらさらにおもしろくなっていたのだろうなーと思うし、そうなっていないからこそ、謎が多くて魅力的な人物に見えるというのもありそう。
今からでも続きを書いてくれないかなー、と思わずにはいられない。
「涼宮ハルヒの憂鬱」的な感じの、オカルトとミステリをミックスした部活ものとして、リブートしてほしいなー。もっとこの三人が見たい。

#読書

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