2024年3月13日の投稿[1件]

かなり長い間積んでいた、連城三紀彦「人間動物園」を読む。
「このミステリーがすごい!」2003年版の7位ランクイン作品。

吹雪で交通網が麻痺した埼玉県笠井市で、汚職疑惑のある政治家の孫娘が誘拐された。
被害者の自宅には盗聴器が大量に仕掛けられており、警察は家の中に立ち入ることすらできない。
異常な状況のなかで、追い詰められていく母親と警察官たち。
彼らははたして、誘拐された少女を取り戻すことはできるのか。

いやー、変な話だった。
視点がいろんなところに飛びまくり、話もとっちらかり、なにが主眼なのかわからない迷宮へと徐々に入り込んでいく。
でも、この視点飛ばしは文章が下手だから起こっているのではなく、『人間動物園』という主軸を表現するためにわざとやっているのだと思う。

こんな面倒なことを意図的にやっているというのが、連城三紀彦らしすぎる。
全編通してあまりに読みづらいので、何度か挫折していたのだが、ようやく最後まで読めた。
ラストシーンは連城作品らしい美しさ。
ミステリ的にはトンデモ寄りの展開なのに、どこか叙情的なのがいいな。
人間ドラマとしてはかなり濃厚。
連城三紀彦にしか書けない、唯一無二の世界観を堪能した。

#読書

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