2024年3月31日の投稿[2件]
2024年3月31日(日)
2024年3月31日(日)
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を見た。
セカイ系で育った世代にとっては、教科書のなかにしかないような作品で、今まで見る機会がなかった。
改めて見てみると、たしかにセカイ系の気配を感じる映画だった。
特に「涼宮ハルヒの憂鬱」に関しては、ほとんど「ビューティフル・ドリーマー」の発想のまんまなのでは?というほどに影響を感じる。
ただし、個人的にはこれ自体はセカイ系ではないと思った。
「どうしてコンビニの物資がなくならないのか?」「どうして電気と水が供給されるのか?」という客観的で冷静な視点は、セカイ系作品とは相容れないものだという感覚がある。
内的世界と現実世界の境界がなくなり、思春期の少年少女の内的な感傷が現実の状況に直結してしまうような世界観……というのが、やっぱり狭義でのセカイ系かなと思う。社会の描写が極端に希薄である感じ、というか。
『セカイ系』はもはやマジックワードの代表格なので、こうやって定義を云々することそのものが無意味かもしれないけれども。
「モラトリアムが永遠に続けばいいのに」という感覚はかなりセカイ系っぽいのだが、そこにモラトリアム(=日常系ラブコメの作品構造そのもの)へのメタな悪意のようなものが潜んでいるのは、戦略を感じさせすぎて、あまりセカイ系っぽくない。
「ビューティフル・ドリーマー」の夢のパートだけを抽出して煮詰めた結果が、かつてのセカイ系なのかな、と思う。
作画や不気味な演出は非常に印象的で、絵的に見ごたえのある映画ではあるのだが、この話は「うる星やつら」でやる必要性はないのではないか、という余計な思考が入り込んでしまい、シナリオについては絶賛とまではいかなかった。
自分は「うる星やつら」には明るくないのだが、それでも、このラムちゃんには違和感がかなりある。
なにより、日常系ラブコメの世界を破壊して、ツギハギして『永遠の円環』をつくるという発想はあまりに邪悪であり、こういう攻撃的な創作手法はやや苦手だ。
と言いつつ、「ルパン三世 カリオストロの城」のようなもので、何度も見ていったらすごく好きになりそうな気もする。
カリオストロの城も、ルパンとしては本当に嫌なんだけど、映画としては見ごたえあるんだよな。畳む
#映画
セカイ系で育った世代にとっては、教科書のなかにしかないような作品で、今まで見る機会がなかった。
改めて見てみると、たしかにセカイ系の気配を感じる映画だった。
特に「涼宮ハルヒの憂鬱」に関しては、ほとんど「ビューティフル・ドリーマー」の発想のまんまなのでは?というほどに影響を感じる。
ただし、個人的にはこれ自体はセカイ系ではないと思った。
「どうしてコンビニの物資がなくならないのか?」「どうして電気と水が供給されるのか?」という客観的で冷静な視点は、セカイ系作品とは相容れないものだという感覚がある。
内的世界と現実世界の境界がなくなり、思春期の少年少女の内的な感傷が現実の状況に直結してしまうような世界観……というのが、やっぱり狭義でのセカイ系かなと思う。社会の描写が極端に希薄である感じ、というか。
『セカイ系』はもはやマジックワードの代表格なので、こうやって定義を云々することそのものが無意味かもしれないけれども。
「モラトリアムが永遠に続けばいいのに」という感覚はかなりセカイ系っぽいのだが、そこにモラトリアム(=日常系ラブコメの作品構造そのもの)へのメタな悪意のようなものが潜んでいるのは、戦略を感じさせすぎて、あまりセカイ系っぽくない。
「ビューティフル・ドリーマー」の夢のパートだけを抽出して煮詰めた結果が、かつてのセカイ系なのかな、と思う。
作画や不気味な演出は非常に印象的で、絵的に見ごたえのある映画ではあるのだが、この話は「うる星やつら」でやる必要性はないのではないか、という余計な思考が入り込んでしまい、シナリオについては絶賛とまではいかなかった。
自分は「うる星やつら」には明るくないのだが、それでも、このラムちゃんには違和感がかなりある。
なにより、日常系ラブコメの世界を破壊して、ツギハギして『永遠の円環』をつくるという発想はあまりに邪悪であり、こういう攻撃的な創作手法はやや苦手だ。
と言いつつ、「ルパン三世 カリオストロの城」のようなもので、何度も見ていったらすごく好きになりそうな気もする。
カリオストロの城も、ルパンとしては本当に嫌なんだけど、映画としては見ごたえあるんだよな。畳む
#映画
1986年に刊行された作品の復刊だが、令和に読んでも存分におもしろい。どんでん返しまみれの傑作短編集。
やや強引なトリックや、現在の視点から見ると古典的なトリックもある。しかし、連城三紀彦の凄まじいところは、しっとりとしたアダルトでハードボイルドな世界観、叙情的な文体で、トリックの強引さを強引と感じさせない手腕だと思う。
トリックそのものがすごいというよりも、トリックの魅せ方がとにかくうまいのだよな。
あと、濡れ場を濡れ場と感じさせない、異様におしゃれなセックスシーンも見どころ。脇を思い切り噛むとか、危険なことをしているような感じもあるのだが、それを異常だと感じさせない謎の説得力があって、世界観に呑まれる。
個人的ベストは「代役」と「ベイ・シティに死す」。特に「代役」のSFっぽさはかなりよかったなー。
80年代を感じさせるような描写は意外と少ないのだが、最後に収録されている「ひらかれた闇」はコテコテのヤンキー(?)が登場していて、急に「そういえば、80年代だったな……」と思い出させてくれる。
今年度を締めくくるのには最高の作品だった。また忘れたころに読みたい。
#読書