2024年5月27日の投稿[1件]

「イシナガキクエを探しています」(2024年5月24日)、第4話を見た。
凄まじく丁寧に作られたモキュメンタリーだった。

真相を明かしすぎたら興ざめだなと思っていたのだけれど、いい感じにぼかされていて、あとは視聴者のご想像にお任せ……という優しい感じになっていた。
最後の最後で、怪異の討伐にロマンスの要素が付け加わるのもすごかったな。

イシナガキクエとはいったいなんだったのか。どんな霊障があるのか。など、怪異の詳細についてはまったく語られなかった。本当に存在しているのかどうかも正直謎だが、討伐されると写真に変化が起こるあたり、たぶん存在してはいるんだろうな。
第1話での展開を見ていると、写真を引き金とする認識災害っぽい部分もありそうだが、大部分は不明。
ここまで完全に不明な存在であるにも関わらず、確かに怖いのがテクニカルだと思う。
最近、ジャンプスケアって、あってもいいけどありすぎると下品だよなと感じていて、ジャンプスケアの少ない作品を探していたのだけれど、イシナガキクエはまさにジャンプスケアからの脱却を見事に果たしている、理知的で静かなホラーだ。

ここから先は脱線的な話題になるけれど、以前にホラーゲームが好きだと言っている知人におすすめのゲームを聞いたところ、ジャンプスケア系(バイオハザードなど)しかなくて、「ジャンプスケアじゃないのはないの?」と訊いてしまい、微妙な雰囲気になったことがある。
たしかに、当時のホラゲというジャンルはほぼほぼジャンプスケアありきなところはありそうで、例外のほうがおそらく少なかった。その知人は別に悪くはない。
しかし、これをホラーの定番のように呼ぶのはあまりに動物的ではないか?とジャンル全般にモヤモヤした。
映像分野についても、ジャンプスケア込みの作品が多いような体感があり、Jホラー映画が衰退していった原因って、そういうところなんじゃないのか?と憤慨していたりする。

「ホラー=ジャンプスケア」という方程式が定着してしまえば、ジャンプスケアが苦手な人はホラー映画そのものを見なくなる。動物的・即物的な演出に頼りすぎると、映画の内容自体も薄くなる。一度見ればそれでいいか、という使い捨ての作品になってしまいそうだ。
もちろん、スパイスとして効果的に活かせる作品もあるけれど、無駄に多用してしまうような作品も散見される。なにより、視聴者に深く思考させ、感情移入を行ったうえで恐怖が襲いかかってくるようなホラー作品と、その思考を必ず中断させるジャンプスケアとはあまり相性がよくないと思う。
「変な家」や「近畿地方のある場所について」など、ホラー小説が最近ブームなのも、ジャンプスケアが苦手な層にも、文章ならリーチできて、客層を広めに取れるなのでは?と考えている。「近畿地方のある場所について」の写真のパートは軽いジャンプスケアなのでは……?という気持ちもあるが……。

ということで、大幅に脱線はしたけれど、昨今のモキュメンタリーブームは、即物的な見た目の怖さだけではなく、視聴者に思考を要求する複雑な怖さを重視する作品が増えてきているという証拠でもあると思う。単純に考察系というジャンルそのものが人気というのも追い風になりそうだ。
この調子で、ジャンプスケアに頼り切らない作品作りが進んでほしいな。畳む


#視聴メモ

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