2024年7月18日の投稿[2件]
2024年7月18日(木)
2024年7月18日(木)
米澤穂信「愚者のエンドロール」を読んだ。
角川スニーカー文庫から2002年に発売された、古典部シリーズの第2作。
文化祭に出展する、クラス製作の自主映画を見せられる、古典部のメンバーたち。
ミステリ映画のはずなのだが、被害者が死亡するシーンで本編が終わっており、解決編が存在しない。
犯人は誰で、トリックはなんなのか? 脚本家の意図するものはなにか?
折木奉太郎はこの謎を解き、正しい解決編を導けるのだろうか?
2作目にしてここまで仕上がっていることがあるのか……!?と驚く。
「秋期限定栗きんとん事件」が本当に好きで、毎度、あの感覚を求めて米澤穂信を読んでしまうのだが、これはかなり近いのではないだろうか。
『青春』は、砕け散るからこそ美しいし、愚かだ。
ミステリとして非常に丁寧な筋立てながら、人間の心情をきっちり描いているのが興味深い。
また、『日常の謎』(あるいは『非・日常の謎』)という存在へのメタ的言及を行うために『日常の謎』を構築するという手法も、凝っていて読み応えがある。
『探偵』という存在が持つ暴力性や、他者の気持ちを顧みない愚かさなど、『本格推理』や『探偵』という枠組みへの批評ともなっており、非常に短くて読みやすい250ページのなかに、ここまで要素を詰め込んでいるのは凄まじいと思う。ちょっと後期クイーン寄りの雰囲気が好き。
ここから、奉太郎がどういう人になっていくのか、気になるなあ。畳む
#読書
角川スニーカー文庫から2002年に発売された、古典部シリーズの第2作。
文化祭に出展する、クラス製作の自主映画を見せられる、古典部のメンバーたち。
ミステリ映画のはずなのだが、被害者が死亡するシーンで本編が終わっており、解決編が存在しない。
犯人は誰で、トリックはなんなのか? 脚本家の意図するものはなにか?
折木奉太郎はこの謎を解き、正しい解決編を導けるのだろうか?
2作目にしてここまで仕上がっていることがあるのか……!?と驚く。
「秋期限定栗きんとん事件」が本当に好きで、毎度、あの感覚を求めて米澤穂信を読んでしまうのだが、これはかなり近いのではないだろうか。
『青春』は、砕け散るからこそ美しいし、愚かだ。
ミステリとして非常に丁寧な筋立てながら、人間の心情をきっちり描いているのが興味深い。
また、『日常の謎』(あるいは『非・日常の謎』)という存在へのメタ的言及を行うために『日常の謎』を構築するという手法も、凝っていて読み応えがある。
『探偵』という存在が持つ暴力性や、他者の気持ちを顧みない愚かさなど、『本格推理』や『探偵』という枠組みへの批評ともなっており、非常に短くて読みやすい250ページのなかに、ここまで要素を詰め込んでいるのは凄まじいと思う。ちょっと後期クイーン寄りの雰囲気が好き。
ここから、奉太郎がどういう人になっていくのか、気になるなあ。畳む
#読書
その人の問題を解決するための旅を提供する、トラブル旅行社シリーズの第一作。2020年刊行。
安定の廣嶋玲子さんなので、おもしろくないわけがないのだが、今回は挿絵もめちゃくちゃかわいくて、描き込みが細やかで、しかもカラー挿絵多数ありという嬉しい一冊。
家族みんなで飲もうとしていた珍しい外国のジュースを、気づかずに飲み干してしまった時川大悟。
このままでは、食いしん坊の姉に怒られてしまう。あわてて街に探しに出かけるが、同じジュースはまったく見つからない。
そんな大悟のもとに、ふしぎなフクロウが現れる。
フクロウに導かれてたどり着いたのは、問題解決のための旅行会社であるトラブル旅行社。
トラブル旅行社が提供する「砂漠のフルーツ狩りツアー」に参加すれば、まったく同じジュースを作ることができるという。
大悟は、わけもわからぬままに、砂漠へと旅立つことになるのだった。
「砂漠のフルーツ狩りツアー」というかわいらしいタイトルからは想像もつかない、砂漠のキャラバンでの過酷な旅の様子がおもしろい。
唯一、料理が得意な主人公の大悟が、その料理を武器に砂漠で生き抜いていくという展開も痛快で、気持ちよかった。
料理の内容も、日本の料理をそのまま出すのではなく、現地の食料で作れるようにアレンジしているのが詳細に描写されていて、おいしそうだった。サボテンのジャム、いいなー。
今まで読んだ廣嶋玲子作品の中で一番好きかもしれない。
こんなにおもしろいのに、まだ3冊しか出ていないらしい。2巻以降も読みたいな。
#読書