2024年8月17日の投稿[1件]

一穂ミチ「パラソルでパラシュート」を読んだ。
初読みの作家さん。
凄まじく惹きつけられて、一日で一気読みしてしまった。

30歳になったら退職しなければならない、大手企業の受付嬢である美雨。
やりたいことはないし、できることもない日々に焦りを覚えていた彼女は、ある日、売れないお笑い芸人の矢沢亨と出会う。つかみどころのないふしぎな存在感を放つ亨、亨の相方の弓彦、そして亨とシェアハウスで暮らしている芸人たちとの交流を通じて、美雨は「なにもない」自分の人生と向き合っていく。

もともと、特別な絆で結びつけられた男性ふたり+そこに現れる女性という関係性がすごく好きだ。この作品の男+男+女の関係性は教科書に載ってもいいくらい最高のバランスだと思う。
男性ふたりの絶妙な距離の描き方が独特だなと思ったのだけれど、もともとボーイズラブの作家さんらしいということをあとから知り、納得した。
「パラソルでパラシュート」はボーイズラブではないのだけれど、ボーイズラブ並みに丁寧に描かれた男ふたりの話ではある。
男女の恋愛っぽいものを描きつつ、男性ふたりの関係性を掘り下げるというのが、たぶんみんなあまりやりたがらないというか、難しい作劇なのではないかと思うんだけど、この作品はそこをすごく丁寧に処理していて、だからこそ、先が気になってどんどん読んでしまった。
リアルな大阪の空気感が優しくて好きだったし、芸人のシェアハウスに一緒に住むというシチュエーションも、芸人好きとしてはわくわくしたなー。
一穂さんの他の作品も読んでみたいなと思った。

#読書

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