2024年11月23日の投稿[1件]

古典を読む時間をもうけたいなと思い、鴨長明「方丈記」 (光文社古典新訳文庫版)を読む。
とても短いので、サクッと読めてよかった。新訳がいい感じにくだけていて読みやすい。
『無常』のイメージを災害によって消失する住居と重ね合わせ、自分は移動が可能な草庵に住む。
しかし、出家したにも関わらず、俗世へのさまざまな感情は尽きず、悟り切ることは到底できないようだ。

移動が可能な住居という概念は、現代に置き換えると、ミニマリストの先駆けのようにも、賃貸住宅至上主義者の先駆けのようにも思える。
嫌になったらすぐに移動できて、最低限の荷物だけで暮らしていくというイメージ。
たしかに、『マイホーム』って俗世の執着のかたまりのようなものだよなあ、と思う。

ミニマリズムを語りながらも、俗世への考えが抜けきらず、自分のなかに生まれる感情に揺れ動く人間らしさがすごくいいと思った。
学校の授業だと、「仏教の無常観を説くまじめな本」というような印象の教わり方をした気がするんだけど、むしろ無常という途方もないものに対する戸惑いのほうが強く感じられるんだよなあ。
災害や貧困、戦争が身近な時代にこそ読まれるべき本なのでは、と思った。

#読書

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