2025年5月28日の投稿[1件]

小学生のころ、教室の隣の空きスペースのようなところに、学級文庫があった。
図書室とは別に、担任の教師が家から持ってきた本が置いてあるというもの。
今、思い出しても不可思議なラインナップというか、江戸川乱歩が数冊(しかも春陽文庫)、本当は怖いグリム童話(具体的なタイトルや出版社は思い出せないが、かなりガチでグロいやつ)、そして赤川次郎の「顔のない十字架」。
一通り読んだのだが、自分にとっては、この「顔のない十字架」がかなり衝撃作で、貪るように読んでしまった。
めちゃくちゃおもしろいと同時に、めちゃくちゃエロかったからである。
直接的なシーンはないのに、なぜかすごくエロティック。
小学生の心をほどよくくすぐる内容だった。

ということで、当時を思い起こしつつ、時空を超えて「顔のない十字架」を読む。
主人公・佐知子は非常に面倒見のいい女性で、しょっちゅう弟の世話を焼いている。
ある日、弟が深夜に男を轢き殺してしまったという連絡が入り、佐知子はその死体を処理することになってしまう。
が、その死体となった男は「脅迫状」を隠し持っていた。
その脅迫状には、「月曜日になったら、自動的に人質である娘が死ぬ」と書かれている。どうやら、弟は誘拐犯を殺してしまったらしい。
娘の所在を知る男が死んだことで、娘の命が危険にさらされていると直感した佐知子は、独自に調査を開始する……という話。

リアリティは皆無なのだが、二転三転するサスペンスが非常に鬼気迫っていて、一気に読めてしまう。
そして、途中で出会う裏社会の殺し屋・辰巳と佐知子の危険なロマンスもすごくいい。
辰巳がことあるごとに佐知子への恋心をアピールしていて、辰巳にしてみれば、いつでも佐知子を襲ってしまえる状況であるにもかかわらず、なぜか佐知子を大事にしている……というのがよかったんだよなー。懐かしい。
久しぶりに読んで、もしつまらなかったらショックだよなと思ったんだけど、おもしろかった。思い出をちゃんと更新できて、嬉しい。畳む


#読書

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