2025年11月17日の投稿[1件]

花田菜々子「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年のこと」を読んだ。

波瀾万丈でドラマティックな実録本。
さまざまな人がマッチングする出会い系サイトで、ひたすらに相手に合いそうな本をおすすめしまくるという、嘘みたいな本当の話。
一応、恋愛目的でない人もいて、同性と会うこともでき、友だち作りや人脈作りに利用している人もいるサイトらしい。
当たり前だが、ヤリモクや変態も一定数いて、いろんな種類の人がひしめいているカオスな空間。

別居中の夫との関係の悪化、そして大好きだった職場・ヴィレッジヴァンガードが本好きにとって居心地のいい場所ではなくなってきたという焦燥感に突き動かされ、本が大好きな自分が、これからどう生きるべきなのかを追いかける、思考の旅に出る。

自分の人生に本当に必要なものはなんなのか。
夫との関係をどう精算するべきなのか。
ヴィレヴァンを辞めて、その先に新しい仕事を見つけられるのか。
迷いながら、知らない人とカフェでひたすらに出会いつづける。
その先にある、人生の答えとは。
出会った人のなかには、一生ものの友だちになれる人もいれば、気が合ったのに一度しか会わなかった人もいる。
まるでこの世界の縮図を見ているようで、心が躍った。

自分もまた、かつてのヴィレッジヴァンガードが大好きだった人間なので、最近のヴィレッジヴァンガードが、はぐれもののための風変わりな本を売る場所ではなく、かわいいキャラの雑貨やアニメの推し活グッズを売る店になってしまったことは非常に残念に思っている。いつのまにか、ヴィレヴァンの本のコーナーにはめったに行かなくなったなあ……。
業績もよくないらしいし、なかなか厳しい局面に立たされているのだろうな。

なお、この作品はドラマ化もされており、サイトで出会ってよき友人になった遠藤さん役は森崎ウィン、夫役は竹財輝之助だった。
竹財さんってやっぱりこのポジションなんだ……!と納得感があった。なぜか破局が似合う。
ドラマの中身、どんな感じなんだろう。

わたしたちは狭い世間のなかで苦しんで右往左往しているけれど、一歩外に出れば、自分で思う以上にさまざまな人がいて、それぞれに別の生き方がある。
出会い系サイトでの出会いの先にあるかもしれない人生のヒントを探す、長い長い旅。
手元にある本を通して、その向こうにだれかの人生の真実を見つける。そんな壮大な一冊だった。畳む


#読書

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