2026年2月16日の投稿[1件]

リチャード・ブローティガン「西瓜糖の日々」(1968年)を読んだ。
ブローティガンは初読だったのだが、すごく好きな雰囲気で、一気に読み終わってしまった。

ほとんどのものが『西瓜糖』でできている世界。
そして、そこにあるコミューンのような場所・アイデス(iDeath)。
そこでは、淡い感情を持った人たちが、透明で静かな日常を送っている。
かつてはわたしたちと同じように言葉を話す虎たちが住んでいて、人々は虎たちに食い殺されていった。今はもう、虎たちはいない。
アイデスでなにが起こるのかを、『わたし』は西瓜糖の言葉で語っていく。

世界は不気味なほどに淡々としていて、死も暴力も、薄まったような感情によって処理される。
悲しくないわけではないだろうが、(iDeathという名前が指し示すように)死と隣りあう自分を常に意識している彼らは、誰かが死んでも、あまり動揺しない。きっと、予測の範囲内なのだろう。
現実とは似ても似つかないようでいて、彼らの日常はわたしたち読者の日常によく似てもいる。
不思議な国に迷い込んだような、独特な読後感だった。
訳者の方のセンスの要素もかなり大きいのだろうと思うが、読みやすく、染み入るような文体が好きだった。
ブローティガンの他の作品も読みたいな。畳む


#読書

■ハッシュタグ:

■日付一覧:

■日付検索:

■カレンダー:

2026年2月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728