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2024年7月8日(月)
2024年7月1日(月)
第24回本格ミステリ大賞、第77回日本推理作家協会賞、第37回山本周五郎賞の三冠からの、第171回直木三十五賞候補でもあるというバケモノ作品。
これで直木賞も獲ったら凄まじいことになると思う。
イカサマありのギャンブルゲーム小説で、「グリコ」「じゃんけん」「坊主めくり」など、おなじみの遊びに新たなルールを加えて、読み合いの頭脳バトルに変えていくという作品。
非常に漫画的な発想であり、特にギャンブル漫画好きにウケそうなノリではあるのだが、デスゲームや暴力の要素はなく、高校生同士の対決なので読みやすい。
青崎有吾といえば、細やかな本格ミステリの名手という印象だが、まさか、こういうのも書けるとは……!という新鮮な驚きがあった。キャラも魅力的で、続編が読みたくなる。
読んでいて絵が脳内に浮かぶ感じで、たぶんアニメ化にも向いているだろうなー。
#読書
2024年7月1日(月)
田中一行「ジャンケットバンク」を3巻まで読む。
銀行の地下で行われる、命やら肉体やら人権やらを賭ける、危険なギャンブルゲームの話。
ちょっと絵柄が怖いんだけど、ギャンブラーたちの駆け引きが読み応えがあって、すごくおもしろい。
「カイジ」を途中まで読んだときに「Eカードと限定ジャンケンが好きすぎるから、こういうくだりをもっと延々と読みたいな~」と思っていた自分には、ぴったりの漫画。変なルールかつ一対一のギャンブルが次々と出てくる。
これは、アニメ化したら盛り上がる気がするなー。
ボイコミのCV内山昂輝が非常に印象通りだったので、アニメ化したら内山さんに声を当ててほしい。
#読書
2024年6月27日(木)
前から気になってはいたんだけど、一気に読むとめちゃくちゃおもしろかった。
やや渋めの邦バンドが好きな鳩野ちひろは、高校に入学して心機一転、ギターを買って軽音楽部に入ることにした。
中学時代のトラウマを払拭し、新たな青春を手に入れるためにあがくちひろの前には、個性豊かすぎる部員たちが次々と現れる。
バタバタと追い立てられるようにバンドを結成したちひろたちの青春の行方は……。
どこかで見たようでいて、どこでも見たことのない音楽部活漫画で、切り口がすごく楽しい。
大人数の部活動で、それぞれ自由にバンドメンバーを集めてバンドを結成するのだが、早々に人間関係でモメたり、たいして本気じゃないやつが抜けていったり、色恋沙汰でいなくなったりと、「そうそう、『ふつうの部活動』ってこんなもんだよね……!」というリアルな質感が半端ない。
部活漫画における部活動って、なぜか登場人物がみんな本気であることを前提に描かれていたりしがちだけど、ふつうは、運動部でもない部活にそこまでマジになるやつ、たぶん半分もいないんだよな……。
部活動というものが、特別な時間ではなく、学校における生活の一部なのだという認識が、部活漫画という媒体においては剥がれ落ちていることが多いのだが、「ふつうの軽音部」の部活動は、高校生活の一部におさまっていて、ベタベタしていないのがいいなと思う。
陽キャによる陰キャへの悪意なき見下しの描写も、それを悪い意味で捉えすぎてドツボにハマる陰キャの描写も、現実にありそう。
あと、軽音部でやる曲が有名バンドのコピーばかりで、オリジナル曲的なものはあまりなさそうなのも、「それっぽい」なと思う。
バンドものの漫画やアニメってオリジナル曲をやりがちだけど、やる気のない人たちが集まって組んだバンドで、そうそうオリジナル曲なんてできないのでは?という。
しかし、「ふつうの軽音部」のすごいところは、露悪的なテーマを取り扱っているわりに、登場人物たちはさわやかで、そんなに度を越して嫌な人はいない(※ただし、ヤバい人はいる)というところ。
露悪をやり抜くと、ギトギトとして読む人を選ぶ漫画になるのが当たり前であるはずなのだが、なぜか読後感は非常にさわやかで、全然ギトギトしていない。
はとっちが熱い努力家だというのが大きいとは思うけれど、それ以外の登場人物も、特別ヘイトを集めるような人はいない。
露悪的なのにキャラへのヘイトがないというのは、不思議で、矛盾しているように思える。でも、実際そうなんだよなあ。
「こいつヤバそうだな」と思うようなキャラでも、そのキャラの心情描写にフォーカスされると実は意外とふつうな考え方だったり、ハメられただけだったりと、過剰に嫌なキャラを作らないように、ヘイトの量を細かくコントロールしている気配があり、このテクニックだけで唯一無二の漫画だと感じる。
「部活で嫌なことがあったら、退部すればいいや。辞めてもなにも変わらないし」という身軽な雰囲気が随所に漂っており、「そこまでマジな気持ちで読まなくてもいいよ、たかが部活内の揉め事だよ」と読者に語りかけてきている気もする。
なお、一番の危険人物である厘ちゃんは、あまりにも考え方が異次元すぎるので、ヘイトとかそういう感情には至らない。
一人だけ異能力バトルの能力者が混ざっちゃっている感じで、こういうところもバランスいいなと思う。
厘ちゃんがもっと陰湿でリアルに嫌な人だったら、たぶんこの漫画の読後感は一変する。
「ふつうじゃない」厘ちゃんがもっと見たい。
続きも楽しみ。畳む
#読書
2024年6月24日(月)
読みながら「読んだことあるな……」と思っていたけど、2016年の3月に一度読んでいた。
こういうときに読書メーターの16年分の読書記録が生きてくる……!
さて、「氷菓」は、アニメ化もされた古典部シリーズの一作目であり、角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞している、米澤穂信のデビュー作でもある。
折木奉太郎と千反田えるの出会い、古典部の結成シーンから始まり、33年前に起きたある事件の謎解きまでを描く。
デビュー作かつ角川スニーカー文庫ということで、ややライトなノリではあるのだが、心情描写の手堅さはさすが。現在の米澤穂信作品に通じる情緒があると思う。
中盤まではやや退屈な日常の謎解きパートが続くのだが、終盤にかけて行われる、33年前の事件の概要を探る会議のくだりは楽しかったなー。
情報と仮説を提出し、別の人たちがソースを提示しつつ仮説を否定する。その後で新たな仮説を出す、また否定する……という建設的な議論の過程が気持ちいい。大人数で協力して謎解きをする作品が好きなので、このくだりだけでも読んだ価値があった。
2016年当時はさらりと流し読みしていた気がするんだけど、8年ぶりに読んでみると、昔より楽しめたかも。
#読書
2024年6月23日(日)
19世紀末ロンドン。
路地裏で浮浪児として暮らすリューイが出会ったのは、変わり者の探偵・シャーロック・ホームズだった。
リューイは、浮浪児を見下すホームズに憎しみを抱きつつも、ホームズの『猟犬』として働くことを決意する。
浮浪児と探偵。不可思議なバディの謎解き合戦がはじまる。
ホームズのパスティーシュはどうしても、ワトソンとホームズというバディにフォーカスした話になりがちなイメージがあるが、「ガス灯野良犬探偵団」には今のところ、ワトソンは出てこない。
ホームズは開業したばかりという設定なので、おそらくはワトソンと出会う前のホームズの話だ。
そして、主人公のリューイはおそらく未来の世界での「ベイカーストリートイレギュラーズ(ベイカー街遊撃隊)」の一員という。
ありとあらゆる人間から暴力を振るわれ、蔑まれ、それでも路地裏で生き抜いていく浮浪児たちの人生を追いながら、ホームズとの交流を描いていくのがおもしろい。
パスティーシュって、原典に忠実である必要はないけど、「原典におけるこのパートを切り取っています、こういうリスペクトがあってやってますよ」という目的が明確だと、作品としての質が上がると思う。
パスティーシュでありながらホームズを主人公にしない、ワトソンを配置しないなど、変則的でありながら、それでいてきっちり時間軸を決めて原典ホームズに差し挟む話をやっている。
この力加減がたまらなくて、続きが気になっている。
#読書
2024年6月21日(金)
座布団さえあればどこでもできる究極の話芸・落語。
突然、父の志ん太が破門された日から、朱音は噺家を志しはじめる。
個性的な仲間たちとともに目指す、噺家の頂点。
果たして、朱音の噺家としての道はどこへつづいていくのか。
超シンプルで王道。丁寧すぎるほど丁寧なジャンプ漫画。
落語シーンで、客席を呑み込んでいく噺家たちの迫力がきっちり表現されている作画がいい。
最後にドン!とキメの大ゴマでサゲや演目名が大写しになるのがかっこいいんだよなー。
特に「真景累ヶ淵 豊志賀の死」は急に異能バトルの世界に引き込まれたかと思った。
怖すぎてゾッとする。BLEACHの隊長格の卍解に匹敵する強さを絵面で見せつけられた。
キャラクターたちも個性的ながら落語を愛する熱い人たちばかりで、とても読みやすい漫画だと思う。つづきも気になる。
金属バットの友保さんのそっくりさんキャラがいるのだが、主人公のライバルとしてかなりの良キャラで、なおかつ出番も多くてびっくりする。性格も友保さんっぽい。
「これ、友保さんじゃない!?」と思いつつググった結果、「ヒロアカにも友保さんがいる」という謎情報を仕入れてしまった。
漫画キャラにしやすい造形なのか……?と無駄に気になってきた。
#読書
2024年6月18日(火)
10巻めの「ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド」まで読み終わったけど、どの巻も物語の構造が違っていて、新鮮に楽しめる。
毎回、主人公が新キャラに変わるのが熱いんだよな~。
特定のキャラの人気に頼らなくてもおもしろいのがすごいし、肝心のブギーポップがほとんど出てこないのも凄まじい。
一応、主人公としてシリーズに名前を冠されてはいるけど、ブギーポップが主人公であったことは一度もない……という驚きがある。
かつて、中学生のときに一番好きだったのは「ペパーミントの魔術師」だった気がするけど、「VSイマジネーター」の退廃感も好きだし、あらためて読むと「歪曲王」も迫力あるし、「パンドラ」の疾走する青春模様も好きだし、正直、全巻おもしろいので一番が決まらないという。
上遠野浩平といえば、ジョジョ勢としては「ジョジョの小説を書いている人」「業界一のジョジョ好き」というイメージなのだが、ブギーポップもジョジョっぽさはかなりあるし、影響は色濃く出ていると思う。
統和機構のヒリヒリ感は5部っぽいなーとか、全体の世界観やテンションは4部っぽいなーとか、考えつつ読むのも楽しい。
「スタンド使いはひかれあう」ならぬ「MPLSはひかれあう」の魂を感じる。
「笑わない」は1998年、10巻目の「ハートレス・レッド」は2001年ということで、どれも20年以上前の作品なのだが、昔の作品でよくある「令和においてはこの価値観は古い」「倫理的によくない」「時事ネタが通じない」というような、気が散る描写がほぼないのも印象的だった。
もちろん、時代性を考慮しながら読むため、そういう描写があること自体は悪いことではない。ただ、度重なると我に返る時間が増えるのは確かで、なければない方が快適に読めるよなと思った。
おそらく、ライトノベルが萌えと完全に融合するよりも前の、硬派かつリアル志向の作品だから、違和感が少ないのかなと思う。
あと、メインテーマが青春の傷み、思春期の儚さというような、現代に通じるものなのも一因かもしれない。
主役だけではなく脇役やチョイ役にも切実な悩みがあり、等身大の人生があるという丁寧な拾い上げが、まるで本当の世界を眺めているようにリアルなのだった。
今のところ既刊が25巻ということで、まだ折り返し地点にも着いていないのだが、この調子なら全巻読破できそうな気がしてきた。今後も楽しみ。
#読書
2024年6月11日(火)
小市民シリーズ、ついに完結。
完結編にふさわしい、ミスリードを駆使したトリックが素晴らしい。
小佐内さんとの絆も次のステージへ移ったような感じで、すごくよかったなあ。
お話が一番好きなのは秋期限定なんだけど、ミステリとしては今回が一番クオリティが高かったかもしれない。
短くスッキリとまとまっているシリーズなので、アニメ化をきっかけに読みはじめる人が増えると嬉しいなあ。文体も読みやすいし、おすすめ。
#読書
2024年6月10日(月)
ブギーポップの思い出は一言では語り尽くせない。
中学生のころ、初めて読んだライトノベルであり、当時の自分の創作の源流でもあった。
ライトノベルの世界観としては非常にドライで残酷であり、キャラ萌えとはあまり縁のない感じが当時の自分としてはかなり斬新だったし、いまだに色褪せない。
「バッカーノ!」もそうだけど、群像劇かつ一人ひとりの登場人物へのウェイトが少なめなのが好きだったなー。
巻を追うごとにキャラ推しの要素は出てくるんだけど、そこまでベタベタしていない感じ、というか。
ブギーポップと再会できたのは、今回、Kindleで大安売りセールをしていたためで、これがなければ戻ってきたりはしていなかったかもしれない。
当時、ブギーポップを読んでいたのは確か14巻くらいまでで、そこから先はいつのまにか読まなくなっていたような気がする。
今から、当時の自分を追い越せるといいなー。
#読書
2024年6月8日(土)
待ちに待った沼駿先生の新作。
慣れ親しんだ定食屋の味がするぜ……!!
「左門くんはサモナー」のファンはみんなむせび泣きながら読んでいると思う。
クズだけどどこか憎めない主人公と、そんな主人公に振り回されつつも、意外とふてぶてしく生きるヒロイン……という構図は「左門くん」と同じなのだが、「左門くん」と比べると、シリアスよりもギャグ多めな感じになっている。
ギャグでぶん回しつつも、気づくといい話になっている、という展開が楽しい。
キャラ的にはまだまだここから、という体感だが、今後も新刊が出るのかと思うと非常に嬉しい。
#読書
2024年6月2日(日)
5/31 「サガ エメラルド ビヨンド 公式設定資料+攻略ガイド 翠の導きの書」
6/4 沼駿「超巡!超条先輩」1巻
6/4 川田大智「半人前の恋人」3巻
6/13 伊吹亜門「幻月と探偵」文庫版
6/13 汀こるもの「最強の毒 本草学者の事件帖」
6/28 今村昌弘「明智恭介の奔走」
近刊だけで、かなり充実の6月。どれを買おうかわくわくするなー。
ちょっと多めなので、いくつかは後回しにするかもしれない。
#読書
2024年5月15日(水)
単行本未収録短編を集めたものらしいが、クオリティはかなり高い気がする。雰囲気があまりにもいい。
今のところ、連城三紀彦は、短編のほうが出来がいいような体感があるなあ。
かなり長い時間をかけて読んでいるが、ちょっとした移動時間に世界観に没入できるのがかなり好き。
#読書
2024年5月8日(水)
かつて、芹沢と同じ夢を抱いた知られざる天才・原田が登場し、濃口らあめんを機に袂を分かったふたりの関係性が描かれる。
「再遊記」になってからはこういう感じの話が少なくて、「発見伝」「才遊記」と比べると情念のうねりが足りないかなと思っていたが、10巻でようやく、じっとりとした情念の話になってきて、「これだよ! 読みたかったのはこれ!!」という気持ちになった。
濃口らあめんという存在について掘り下げる話にもなっていて、目が離せない。
理想に殉じることを選んだ男と、現実と向き合うことを選んだ男が出会ったとき、なにが起きるのか。
藤本と芹沢の関係性が好きだった身としては、愛憎入り交じる原田との関係性がどこへ決着するのかはかなり気になる。
共感、嫉妬、失望が複雑に入り混じった、天才と天才のあいだでしか発生しない感情の応酬が見られて嬉しいな。
たぶん11巻はすごく荒れる展開になると思うので、ドキドキしつつ待ちたい。
#読書
2024年4月15日(月)
ここ最近読んだエッセイ漫画のなかではダントツでおもしろい。
増田こうすけ先生にしか書けない、独特なテイストの作品。
漫画家生活を描くエッセイ漫画って、締切に追われたり、アイデアが出なかったり、不摂生な生活をしていたり、クズだったり、編集とバトルしたり……というようなものが多いように思うが、「ギャグマンガ家めざし日和」にはそんな片鱗はいっさいない。
呼吸をするようにギャグマンガを描いていて、受賞までの苦労なども特になさそうなのが凄まじい。
嫌なことがあっても、必要以上に深く考えずに次へ行けるような前向きなところも垣間見えて、よかったなあ。
思考回路はすごく共感できる感じで、しっとりしたトーンが好きだった。
実生活のことすらも、まるでギャグマンガ日和の一幕であるかのように、冷静に俯瞰で描ききっているところがおもしろかった。
トントン拍子にデビューが決まるくだりで、いわゆる天才的な漫画家なのだろうと思わせるが、本人がいたって淡々としていて、嫌味なところがまったくないし、自分がすごいことをしているとも特に感じていなさそうなのが、すごく増田こうすけらしいなと思った。
#読書
2024年4月12日(金)
相変わらずスイスイ読める、気持ち悪さ強めのライトホラー&ミステリ。
問題編のおどろおどろしさは非常にいいのだが、解決編がかなり強引なため、ミステリとしてはイマイチだと思う。これは「変な家」「変な絵」の時点でそうだけど。
クイズやパズルのような話運びで、登場人物の姿がまったく見えてこなくて、それによって怖さも薄まっている気がする。
「カトリック教徒は人を殺すことはない。よって犯人ではない」などの牽強付会な推理の数々にはずっこけるしかない。
糸電話で話しながらセックスもかなり難易度高い。どんなシチュエーションなんだ。
ただし、雨穴作品は(Youtubeも含め)あくまでも軽いクイズやパズルのように楽しむのが正しいと思うので、こういう箇所に細かいツッコミを入れるのは野暮かな。
居心地の悪い雰囲気を楽しむための、ライトホラーノベル的な立ち位置で読むといい気がした。
ライトノベルとして読むには、題材が気持ち悪すぎるのがネックなのだが(児童虐待、性暴力、カルト宗教など)。畳む
#読書
2024年4月12日(金)
一応、読みかけの本はいくつかあるのだが……。三十冊には程遠い気がする。
漫画かなにかで稼ごうか、どうしようか、悩んでいる。
毎年、4月と5月はなんとなく憂鬱で、すべてにやる気が出ない。どうしてなんだろうか。
#読書
2024年4月3日(水)
ワールドトリガー!
暗号学園のいろは!
ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王!
今買っているジャンプコミックスはかなり少ないのに、一気に3冊出るという。いきなりどうした。
充実のゴールデンウイークになりそうだが、このあとで買うものがなくなりそうでもあるなあ。
#読書
2024年4月2日(火)
本当に今さらなマイブームなのだが、新本格推理以降の本格作品をメインフィールドにしてきたせいか、連城三紀彦は意外とノーマークだったんだよな。
今までに取りこぼしてきた作品のなかに、まだまだ自分のツボにハマるものがあるのだと思うと希望を感じる。
しかし、この登場人物たち、すぐに不倫するなあ。どうしてそんなに不倫するんだ。
#読書
2024年3月31日(日)
1986年に刊行された作品の復刊だが、令和に読んでも存分におもしろい。どんでん返しまみれの傑作短編集。
やや強引なトリックや、現在の視点から見ると古典的なトリックもある。しかし、連城三紀彦の凄まじいところは、しっとりとしたアダルトでハードボイルドな世界観、叙情的な文体で、トリックの強引さを強引と感じさせない手腕だと思う。
トリックそのものがすごいというよりも、トリックの魅せ方がとにかくうまいのだよな。
あと、濡れ場を濡れ場と感じさせない、異様におしゃれなセックスシーンも見どころ。脇を思い切り噛むとか、危険なことをしているような感じもあるのだが、それを異常だと感じさせない謎の説得力があって、世界観に呑まれる。
個人的ベストは「代役」と「ベイ・シティに死す」。特に「代役」のSFっぽさはかなりよかったなー。
80年代を感じさせるような描写は意外と少ないのだが、最後に収録されている「ひらかれた闇」はコテコテのヤンキー(?)が登場していて、急に「そういえば、80年代だったな……」と思い出させてくれる。
今年度を締めくくるのには最高の作品だった。また忘れたころに読みたい。
#読書
2024年3月27日(水)
筋肉少女帯のボーカルとして長年ライブシーンに立ちながらも、まったく楽器ができない、楽譜も読めないオーケンが、ギターに目覚めるという私小説的エッセイ。
どのタイミングだったかは忘れたけれど、オーケンのエッセイには多少の誇張やフィクションが混ざっていて、完全なノンフィクションではないよ、というような話を本人がしていた気がする。
「FOK46」はそのフィクション性に自ら着目して、あえて逆手に取り、私小説として仕上げたエッセイ……というふうに読めると思う。
タイトルからはほのぼのした印象を受けるが、内容はかなりシリアスで、40代のオーケンが体験した身近な『死』について、淡々と述べられている。
その『死』に背中を押されるような形で、ギターへとのめりこんでいく疾走感と、焦燥感。
作中でも述べられているが、40代での他人の『死』には特別な重みがあるのではないかと思う。
50代を超えれば、誰でも病気になるリスクがあり、周囲で亡くなる人も増えるだろうが、40代はまだそういう年齢ではない。しかし、30代よりは確実に死に近い。
そんな過渡期ともいえる年代のなかで、立て続けに体験した友人や家族の死。
オーケンなりのユーモアを交えつつ、死を受容し、前向きに生きていく姿に勇気づけられるし、若い頃のオーケンのエッセイを読み込んでいればいるほど、彼がこの文体を崩さずに、次のステージへと駒を進めていることに驚くはずだ。
この本は2014年発売で、すでに10年前の話なのだが、久しぶりにオーケンのエッセイを読んだ者としては、昔と変わらないオーケンのまま、着実にいい年のとり方をしていることがすごく嬉しい。
#読書
2024年3月27日(水)
「世界でいちばん透きとおった物語」と同じようなワンアイデア系なのだが、「世界でいちばん透きとおった物語」のほうが構造的にはよくできていると思う。
「世界でいちばん透きとおった物語」は、謎を提示し、その謎の答えとしてトリックの内容が明かされる構造になっているが、「逆転美人」はそういうふうにはなっていないと感じられるからだ。
以下、やや批判的な感想。
ミステリーには魅力的な謎が必要であり、それに付随する問題提起や誘導も重要な要素だ。
トリックをうまく見せるには、そこにトリックがあるということを明確に読者に示す必要がある。「逆転美人」のトリックはたしかに凄まじい労力がかかっていることが示唆されてはいるが、読者への謎の提示はほとんど行われていない。
途中、些細な違和感がいくつか提示されるのみで、明確な論理を帯びた推理パートはないに等しい。
読者は読み終わってから、そこにトリックがあったということを知らされる。
そこには、トリックを解くために必要な問題提起のパートが欠落している。
もちろん、このトリックそのものは非常にクオリティが高いのだが、もうちょっとうまい見せ方があるのでは?という気持ちがかなり強い。
トリック以外の描写に不愉快なものが多く、人物にもまったく惹かれないというのもあり、やっぱりワンアイデア系はアイデアの部分以外が手抜きなものが多いかな……という体感がある。
最後に読者自身が読み解く最後のメッセージが、手記の世界を揺るがすような内容だったら、もうすこし評価が変わっていたかもしれない。この内容があまりにも普通だったので、「わざわざ読み解くほどのものではないな」と思ってしまった。
それでも、大どんでん返しのアイデアが気になって、ついつい読んでしまうのだった。畳む
#読書
2024年3月13日(水)
「このミステリーがすごい!」2003年版の7位ランクイン作品。
吹雪で交通網が麻痺した埼玉県笠井市で、汚職疑惑のある政治家の孫娘が誘拐された。
被害者の自宅には盗聴器が大量に仕掛けられており、警察は家の中に立ち入ることすらできない。
異常な状況のなかで、追い詰められていく母親と警察官たち。
彼らははたして、誘拐された少女を取り戻すことはできるのか。
いやー、変な話だった。
視点がいろんなところに飛びまくり、話もとっちらかり、なにが主眼なのかわからない迷宮へと徐々に入り込んでいく。
でも、この視点飛ばしは文章が下手だから起こっているのではなく、『人間動物園』という主軸を表現するためにわざとやっているのだと思う。
こんな面倒なことを意図的にやっているというのが、連城三紀彦らしすぎる。
全編通してあまりに読みづらいので、何度か挫折していたのだが、ようやく最後まで読めた。
ラストシーンは連城作品らしい美しさ。
ミステリ的にはトンデモ寄りの展開なのに、どこか叙情的なのがいいな。
人間ドラマとしてはかなり濃厚。
連城三紀彦にしか書けない、唯一無二の世界観を堪能した。
#読書
2024年3月12日(火)
初出が2003年ということで、「令和の倫理観に照らすとちょっとダメでは?」と思う箇所もあるが、いつものはやみねかおるのテンションで、安心して読める。
本人は自分を普通だと思っているが、実際のところはかなりの変人である語り手・井上快人。
幼なじみの川村春奈は本物の霊能力者で、霊能力を恐れない快人に好意を抱いているようだ。
快人は、大学に入学するにあたり、親からの仕送りを拒んだ結果、家賃月1万円の今川寮に住むことになってしまう。
変人だらけの今川寮のなかでも、もっとも得体のしれないオカルトマニアの変人・長曽我部慎太郎に目をつけられてしまったふたりは、「あやかし研究会」という部活に入会させられてしまう。
不可思議現象を研究しつつ、日常の謎を解いていく「あやかし研究会」。
長宗我部先輩と快人は、事件の謎を解くことができるのか。
本物の霊能力者というチートキャラを介しつつ、オカルトを理論で紐解いていく……という魅力的な導入で、なかなか好きなお話だった。
はやみねかおる作品の登場人物で大学生たちがメインというのはなかなか珍しい気がして、そこも新鮮で好きだなあ。
非常にもったいないのは、「長宗我部先輩は何者なのか?」という最大の謎が解かれないまま終わってしまうというところ。
大学に8年間通っている仙人のような先輩で、どうやらオカルトの力で人格が変わってしまうらしい、というフリだけを残し、謎めいたままフェードアウトしていくのがずるい。
夢水清志郎ポジションなんだと思うと、謎めいているほうが雰囲気としてはいい気もするが。
たぶん、シリーズ化していたらさらにおもしろくなっていたのだろうなーと思うし、そうなっていないからこそ、謎が多くて魅力的な人物に見えるというのもありそう。
今からでも続きを書いてくれないかなー、と思わずにはいられない。
「涼宮ハルヒの憂鬱」的な感じの、オカルトとミステリをミックスした部活ものとして、リブートしてほしいなー。もっとこの三人が見たい。
#読書
2024年3月8日(金)
2008年、太平洋上で停泊していた漁船・第58寿和丸が突如、数分のうちに沈没。17人が死亡・行方不明となる大事故となった。
第58寿和丸はもっとも安全なパラアンカーによる停泊法を用いており、突然沈むということは考えられない。特別に海が荒れていたわけではなく、周辺の僚船はまったく被害に遭っていなかった。
生き残った3名の乗組員の証言では、海には大量の黒い油があふれていたという。彼らは油のなかを必死に泳いで脱出している。
油は、おそらく第58寿和丸から流出したものと思われるが、船から油が大量にあふれているということは、船には『傷』が入っていたのではないか? なにかとぶつかり、船底に大きな亀裂が入り、沈没したのでは……と生存者たちは一様に考えているようだった。
しかし、国側が提出した報告書はずさんなものだった。生存者たちや漁船関係者の証言とはまったく噛み合わない、沈没の原因は「大きな波」によるものだという結論を提出され、当事者たちは大きく戸惑うこととなる。
5000メートル以上の深海に沈んだ船の調査も拒否され、事件は迷宮入りとなった。
波が原因で船が沈んだとは考えられない。船はおそらく、見えないなにかと衝突したのだ。
では……その『なにか』とはいったいなんなのか?
突き止めることはできないのか?
国は、なにかを隠しているのか?
忘れ去られた事件を執念で追いかける、ジャーナリストの戦いが始まる。
非常に論理的で読み応えのあるルポ。
当事者たちは事故の記憶に苦しめられているのに、報告書を作った側の人間たちは、取材に対して「記憶にない」「船の名前を聞いてもやっぱり思い出せない」と答えるシーンがたくさんあって、胸が締め付けられる。
都合の悪い真実を隠しているから「記憶にない」と言い張っているのか、それとも本当に忘れているのか。どちらにしても、当事者でないと、人はここまで残酷になれるのか……としみじみと感じずにはいられない。
国側の担当者はころころ変わっていて、ひとつひとつの事故に対してまったく誠実に対処していないということも浮き彫りとなる。黒塗りだらけの書類が提出されるくだりでは、この国が今もはらんでいる隠蔽体質について考えさせられる。
死者・行方不明者合わせて17名という大きな規模の事故であるにも関わらず、個人的にはまったくニュースで見た記憶がないなと思っていたのだけれど、当時、2008年6月8日には秋葉原通り魔殺人が起こっており、6月の報道はこの事件一色になっていたから、みんなの記憶には残っていない……という部分も、なんとも言えない悲しさがあった。
2008年の事故の3年後、2011年には東日本大震災による津波が港へと打ち寄せ、漁港の男たちは再び窮地に立たされる。しかし、この先の人生を生きていかなければならない。
過酷な試練のなかで、それでも前を向く当事者たちの姿に、胸を打たれた。
#読書
2024年3月2日(土)
行旅死亡人とは、病気、行き倒れ、自殺など、さまざまな理由で亡くなり、身元が不明のまま、どこにも引き取り手のいない死者を指す法律用語。基本的に事件性はないのだが、官報にて公表される行旅死亡人のデータには、時折、不可解なミステリーを匂わせるものがある。
「ある行旅死亡人の物語」は、ふたりの記者が、3400万円という大金を持ちながら死んだ名もなき女性の人生を追い、彼女の名前を見つけるまでを克明に描いた、執念のルポだ。
所持金3400万円、そして右手の指が一本もない。持ち物のなかには星型のペンダントがあり、ペンダントのなかには暗号のような数列が記載されていた。部屋には大きなぬいぐるみが大切に残されていた。
そんな女性の遺産の相続人を探している弁護士と接触するところから、物語ははじまる。
さまざまにもつれあう人間関係を丁寧に紐解きながら、女性の名前が発覚するくだりは、どんなフィクションよりもぐっとくる。
もちろん、ノンフィクションなので、判明しない点も多いのだが、それも含めて、ひとりの人間の生の厚みを感じられて、読み応えがあった。
どんなに隠れて生きようとしても、その人が働いたり、近所の人と話したり、家賃を払ったり、買い物をしたり……どこかで他人とのつながりが生まれる。
もしかしたら、自分もいつかは行旅死亡人のひとりになるかもしれないけれど、だれかが足跡をたどってくれたなら、きっとそこかしこに生きた証があるはずだ。
ありふれたものかもしれないけれど、自分にもそんな痕跡が残されている。
自分が死ぬ日のことを想像して、世界のスケール感に圧倒される。そんな本だった。
これを読んだあと、行旅死亡人データベースを閲覧してみたのだが、病気、孤独死、自殺などのありふれた死因とは別に、「ホルマリン漬けにされた胎児」、「江戸時代に死んだと推定される人骨」、「ゴミ捨て場に捨てられた火葬後の遺骨」など、さまざまな行旅死亡人のデータがあって、データベースを読んでいるだけでも、「こんな人生もあるんだな」と世界が変わっていくような感覚があった。
やっぱり、ノンフィクション本は視界が急激に広がるような感覚があって、小説とはべつの手応えがあるよなー、としみじみと思った。
また、おもしろいノンフィクションが読みたくなる。
#読書
2024年2月26日(月)
第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。
大正末期の大阪を舞台とした、静かで美しいホラー小説。
関東大震災で妻を亡くした壮一郎のもとに、妻そっくりの『なにか』が帰ってくる。
果たして、それは本当に妻なのか。
妻だとしたら、彼女をこの世につなぎとめるものはなんなのか。
死を自覚していない霊を喰らうエリマキという人外とともに、壮一郎は謎を追いはじめる。
怖さを期待して読み始めたが、実際のところは美しさが勝つ感じで、グロかったり怖かったりする要素は薄め。
静かにひたひたと満ちていく、狂気的な雰囲気がいい。
大阪をこういうふうにしっとりとした雰囲気で描く作品って、どちらかというと少ないほうだと思うので、ステレオタイプの打破という観点でも嬉しい一作だった。
エリマキというキャラクターが強烈に魅力的で、このままエリマキを主人公としてホラー連作にしてほしいという願望を持たずにはいられないが、ラストがきれいにまとまっているため、エリマキはこれ以上出さないほうがすっきりするかも、という気持ちもある。
デビュー作でここまで凄まじいクオリティのものを出してしまうと、このあとの期待値の上昇はえげつないのでは、と思う。次回作にも期待したい。
#読書
2024年2月20日(火)
狩猟生活をしていたころと、人間の肉体の仕組みは変わらないのに、生活の内容が激変したことで、ギャップによる不調が生まれるのだということを丁寧に説明してくれる良書。
人間の体の仕組みと、スマートフォンがそこに与える負荷の内容を解説してくれているため、単なる感情としてのスマートフォン憎し、デジタル憎しというだけではなく、科学的に実証されている害がわかる本となっている。
スウェーデンでは、ベストセラーとなったこの本に基づいた教育が行われており、子どもへデジタルがもたらす害が日本よりもちゃんと意識されているらしい。
スマートフォンやSNSを売り出している側の人たちは、自分の子どもにはデバイスを触らせないようにしている……というあたりの話は、やはりスマートフォンもSNSも、ドーパミン依存を生み出す麻薬のようなものなのかな、と思わせる。
また、幾多の研究を元に、「うつの人がスマートフォンをよく触る」のか、「スマートフォンをよく触るからうつになる」のか、卵と鶏、どちらか先なのかに慎重に言及してくれるところも、誠実で好きだった。
意外だったのは、スマートフォンを『触る』ことで、脳の機能が低下したり学習効果が落ちたり、メンタルの状態が悪くなるだけではなく、寝る部屋や学習スペースにスマートフォンが『置いてある』だけで、睡眠の質や学習効果が大幅に低下するというくだり。
人と雑談しているときに、机の上にスマートフォンを置いておくと、雑談の内容がつまらなく感じる、というのも驚きだ。
スマートフォンのアラームを、無料で使える目覚ましとして活用している人はかなり多いと思う。
が、ドーパミンの素が枕元に置いてあるだけで、脳がドーパミンを意識して気が散ってしまい、睡眠の質は低下する。
目覚まし時計を購入し、スマートフォンを寝室から追い出すだけで、睡眠の質は大幅に向上するということになる。
ちょっとやってみたいが、スマートフォンの目覚まし機能が生活に根付きすぎていて、いまから時計に切り替えるのは勇気がいるなあ。
#読書
2024年2月12日(月)
詩人とライター。価値観も世代も異なるふたりの往復書簡。
谷川さんは詩によって、ブレイディさんは文章によって、互いの思考を手繰り寄せ、連想ゲームのように先に進めていく。
往復書簡とは銘打たれているものの、ふたりの会話は噛み合っているようで噛み合っておらず、相手の話題のなかから興味のあるワードを抜き出して、自らの思考にうまく絡めていくというやりとりになっているのが、リアルで読み応えがあった。
ブレイディみかこさんの書く、現代社会の問題を冷静に見つめているテキストが大好きなのだが、そこに観念的な谷川さんの詩を組み合わせたことで、他に類を見ない特殊な読書体験となったような気がする。
ふたりがさまざまな引き出しをランダムに開け、記憶を紐解いていくのを横目に、読者も一緒に自分の体験や知識の引き出しを開けていくことになる。
これはまた、しばらくしたら読み返したい本だなあ。
#読書
2024年2月9日(金)
いわゆるワンアイデア系。
アイデアそのものはインパクトがあり、一読の価値はあると思う。前フリの段階で多少の予想はついてしまうのだけれど、ここまで徹底しているとは思わず、かなり驚かされた。
しかし、ワンアイデア系全体に言えることだけど、キャラがアイデアのために右往左往しているような雰囲気があり、感情移入したり、人間関係を楽しんだりという感じの小説ではない。
「このあと、なにか仕掛けがあるんだろうな」ということは帯やあらすじの情報からよくわかっているので、それを待ち構えてしまっていると、余計に人間関係が薄く感じてしまうんだよな。
こういう宣伝を読まないまま、まっさらな状態で読んでみたいなと毎回考えてしまう。
あと、帯や宣伝文句で過剰に煽られすぎていて、読み終わったときに「こんなもんか」と思ってしまうという問題もある。
これは小説の内容が悪いというよりも、こういう煽りで売ろうとすることそのものの問題だと思われる。
宣伝が激化しすぎて、すべてのハードルが上がりすぎている。
1日でサクッと読める軽い文体なので、ワンアイデア系が好きな人にはおすすめ。
#読書
よく似た別々の怪異の話が少しずつ重なり合い、その共通項を探すために調査を始めるというのは、最近のモキュメンタリーものでもよくある構造だったりする。最近の作品との類似や相違を探してみても楽しそうだ。
ひとつひとつの怪異の怖さがずば抜けていて、「やっぱり、三津田信三は一味違う!」という気持ちになった。
「近畿地方のある場所について」が好きな人には、ぜひこちらも読んでほしい。
特に後半の怪異が群を抜いて怖くて、ページをめくる手が止まらなかった。怖いのに、先が気になる……!
ラストの謎解きシーンは正直いらなかったかなとも思うのだが、全体を通してモチーフの不気味さが突き抜けていて、ホラー小説のオールタイムベストに入れたい出来栄えの傑作だった。
続編もあるらしいので、そちらも読みたいな。
タイトルの噛み合っていない感じや、不快度の高い書影も不気味で印象的。いい味出してるんだよなあ。
#読書