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2008年の映画「百万円と苦虫女」を見た。
かわいらしいポスターとポップな予告から、なんとなく見やすい映画なのかと思っていたけれど、とんでもなかった。けっこうつらかった。この予告は詐欺だと思う。
以下、ネタバレありの感想。



とある事件に巻き込まれ、前科がついてしまった鈴子。
家にいづらくなった彼女は、職を転々とし、「100万円を稼ぐたびに違う街へ移り住む」という生き方を選ぶ。
どの場所でも、最初は自分のことをだれも知らないことでうまくいくが、自分を知られるごとにしがらみが生まれ、失敗し、また次の街へ流れ流れる。
果たして、彼女は自分らしく生きられる居場所を見つけることができるのか。

「100万円ってそんなすぐに貯まるものなの?」とか、「そんな雑な部屋の借り方、あり?」とか、リアリティ的なツッコミどころは多々あるんだけど、それを補って余りあるほどの蒼井優の魅力。
当て書きなのかと思うくらいぴったりで凄まじかった。

なによりも素晴らしいのは、ラストシーンをこういう形にしたこと。
出会うために『別れる』、その別れのほうへ心を寄せていったお話で、このラストだからこそ心に残る映画だと思った。
「頼む!! くっついてくれ~!!!」と視聴者的には必死に祈ったんだけど、終わってから冷静に考えると、最後に中島と一緒に埼玉に残っていたら、絶対に駄作だったんだよなあ。
あくまでも、恋愛映画ではなくロードムービーであることに徹していて、人生全体を俯瞰して眺めているような、大好きな終わり方だった。

竹財輝之助と森山未來とのロマンス(?)の合間に、ピエール瀧との同居パートが挟まるヘンテコさもよくて、大好きな空気感だった。風呂の様子をやたらと見に来るピエール瀧。
もしこれが乙女ゲームだったら、竹財輝之助エンドと森山未來エンドのほかにピエール瀧エンドが発生するんだよなあ……ふしぎな話……!
内容的にはしんどい部分が多かったけど、なぜかまた見たいなあと思ってしまった。心地よい温度の映画。畳む


#映画

映画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」を劇場で見た。

かわいらしい絵柄で描かれる、旧日本軍の集団狂気と、ペリリュー島で起こる悲劇の顛末。
島の美しく静かな自然と対照的に、人間たちの愚かさは加速していく。

この絵柄だからなんとかしがみついて見ていられるというか、実写で見たらめちゃくちゃしんどいだろうなと思う。
2025年の12月、不安定な世界情勢のなかでこの映画が放映されているということの意味を考えたくなる。

ひとりひとりは正気であったとしても、集団に放り込まれ、極限状態に置かれたら正常な判断はできなくなる。
殺さなくていい同胞を殺しながら、本土では終わったはずの戦争をいつまでも続行する。
1947年の悲劇を終わらせるために必要なのは、死んだ上官の命令を無視し、軍の美学を捨て、投降する勇気。
しかし、思い込みによって洗脳された彼らにとって、投降はもっとも難しい選択だった。

つらすぎてもう二度と読みたくないと思った名作「総員玉砕せよ!」をまた読みたくなったりもする。そんな映画だった。畳む


#映画

「劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使」が発表された。

何度も言ってしまうけれど、人生でコナンが一番好きだった時期に「揺れる警視庁 1200万人の人質」を食らった世代としては、萩原と松田のコンビが「ハロウィンの花嫁」でメインキャラとして登場したことが衝撃的だった。
ふたりとも、どう考えても生存の確率ゼロの状態で殉職していて、これ以上出せる余地がないキャラだと思っていた。

それからまだ数年しか経過していないのに、またもキービジュアルに萩原&松田が登場するというサプライズ。
さすがに、これは映画館に行かなきゃ……!という気持ちになった。
「ハロウィンの花嫁」で、埋められそうな直近の時間軸はかなり埋めちゃった感があるんだけど、さらに過去の話をやるということなのかな~。楽しみ。

#映画

劇場版総集編 後編「ガールズバンドクライ なぁ、未来。」を劇場で見た。
以下、ネタバレありの感想。

ガルクラ、やっぱり好きだなあ……としみじみ思う。
TVシリーズで見たときは「事務所を辞める」という選択がすごく悲しかったのだけれど、改めて見たら、これ以外の結末はないと感じた。

「ガールズバンドクライ」は、井芹仁菜の初期衝動の物語だ。
彼女たちの前に立ちはだかる障壁は、「わたしは、間違っていない」という彼女の初期衝動を折ることで解決できる内容であることが多い。
一度でもそれを折ってしまえば、もっと平坦な人生を楽に送れるはず。ダイヤモンドダストと仲良く協力しながら対バンしてもよかったし、父親の協力によっていじめっ子たちと和解することを選ぶこともできた。事務所は辞めなくていいし、対バンを断ったっていい。そうすれば、一時はとても苦しい気持ちになるかもしれないが、その後は社会的に見て簡単な道を歩けたはずだ。
現実問題、みんなそうやって生きている。頭を下げたくない相手に頭を下げたり、我慢してくだらない上司や教師や親の言うことを聞いたり、つきたくないウソをついたりして。
そうして妥協していくことが、ロックではないふつうの人生。

でも、彼女たちはロックを選んだ。みんなの、そして井芹仁菜の初期衝動を守る。それだけが、トゲナシトゲアリのロックのあるべき形。
だから、いつも、話し合いや多数決による合理的な結論が出そうになった瞬間、仁菜のロックがその合理性を壊すという形で決着する。非合理的な結論に対し、メンバーから完全な否定の言葉が出ないのは、彼女たちも合理的でない結論を心の底で求めているからだろう。

牛丼屋のバイトでルパが客から差別的な発言を受け、それに対して怒る仁菜に、「わたしにもロックは必要ということです」と笑顔で言うシーンがあるが、これも「くだらない社会への適応」への反動としてロックが存在していることを表しているように思えた。

バンドの物語にはさまざまな主軸が存在しているだろう。技術の成長、青春、精神面での成熟、バンドメンバーとの一体感、絆の強化など。でも、ガルクラの場合は、そのすべてが結局、初期衝動のところに戻ってくる。知らない人が見れば、「ずっと同じところをぐるぐる回っている」ようにすら見えるかもしれない。ロックとは初期衝動であり、それ以上でもそれ以下でもない。技術の成長は確実にあるはずだが、それを全面に押し出すことはしない。みんなの心が一つになるとか、青春しているとか、そういう部分もあえて控えめにしているような気がしている。誰かと溶け合うことなどなく、自分のロックは自分の心の中に持っておくしかない。それぞれの初期衝動が合流し爆発する瞬間、会場が沸き、観客の心が動く。ただ、それだけの物語。

ここからどう物語が動いていくのか。
彼女たちの初期衝動はどこまでつづいていくのか。
初期衝動とは、いつまでもつづきはしないから初期衝動なのではないかと思う。
「ファースト・アルバムはあんなにインパクトがあってよかったのに、最近は売れ線の同じような曲を量産するようになったなー」、「以前は攻めてて変わった人だと思ったけど、最近は落ち着いているなー」なんてことは現実ではよくある。
もちろん、売れ線の曲をたくさん作れるということは純粋にすごいことであり、称賛されるべきことなのだが、初期衝動との距離は離れていっていることが多いのではないかと思うのだった。
初期衝動に取り憑かれつづけること、その熱意を保ちつづけることはすごく難しいだろう。売れれば売れるほど、ダイヤモンドダストのように、どこかでなにかを妥協しなくてはいけなくなる。
だからこそ、初期衝動のみで前に進みつづけるトゲナシトゲアリがこれからどこへ走り出すのか、ただただ気になっている。畳む


#映画

「ペリリュー 楽園のゲルニカ」のムビチケを買ってしまった。
自分のメンタルはもつのだろうか……と戦々恐々としつつ。

なんとなく、月に一回か二回は劇場で映画を見たいな~と思い、意識的にムビチケを買っている。
11月後半はガルクラ総集編の後編、12月上旬はペリリュー。

あと、埼玉の民としては「平場の月」のご当地映画具合を確かめたいところなのだが、これは11月のうちに見ないと厳しいのかな。なお、内容はまったくわかっていない。

#映画

おもしろい映画がまた見たい!という気持ちに突き動かされて、近所の映画館でやっている作品を調べたりするのだが、あまり見たいものがない。難しい。
「爆弾」でハードルが上がりすぎている。
あー、スクリーンでおもしろい映画が見たいぜー!

#映画

映画「爆弾」、すごくよかった。
かなり露悪的かつ不謹慎な部分もあるため、「国宝」のような大ヒットにはならないかもしれないが、サスペンス作品としてはかなり良質。
安易な感動要素やキャラ萌え要素などに頼っていないところが無骨で熱い。
原作既読勢として、原作通りの不穏な感じが出ていて楽しめた。



酔っ払って自販機を壊すという些細な容疑で逮捕された男・スズキタゴサクが、『霊感』によって爆発事件を予言する。
予告された場所は時間通りに爆破され、警察は彼の予言が本物であると確信する。
この男が犯人であることを前提に密室での取り調べを行うのだが、本名不明、職業不明、住所不明、自称記憶喪失、予言以外の供述はデタラメばかりという八方塞がり。
それでも、警察は彼の霊感にすがるしかない。
果たして、スズキは本当に爆発事件の犯人なのか?
爆弾はいったいあと何個あるのか?

なんといっても佐藤二朗の怪演が凄まじい。佐藤二朗を見るための映画。
どうしても、福田組でちょけてるときの印象が強すぎるんだけど、福田組じゃないときは凄まじい演技力を発揮するんだよなあ……と、改めて確認した。
スズキタゴサクも第一印象は相当にふざけたオッサンなので、ちょけ系の演技の延長上にありそうかと思いきや、そのふざけっぷりもシナリオの深い部分に関係しているという。
実は全然ふざけてないんだ、という仕掛けがいい。

あと、山田裕貴も名演だったと思う。
こういう犯罪を阻止しようとする話って、熱血や感動の方向に話を振っていきそうなもの。
だが、山田裕貴演じる類家という男は、むしろ事件が深刻化するたび、感情を失っていくような表情をしていた。感情をオフにすることで頭脳を研ぎ澄ませているような印象。
目の奥になんの光もないような感じ、すごかったなー。
徐々に、類家のなかにあるスズキタゴサク的な部分が見え隠れするのがゾクゾクして、おもしろい。
ドアップになったときに青ひげが見えたりするのも、たぶんスズキに寄せるための演出なんだと思うが、攻めてるなあと思った。
イケメン俳優の青ひげ、今の技術なら消せると思うのだが、むしろ見せていくんだ、という。畳む


#映画

「爆弾」をレイトショーで見てきた。
仕事帰りなのでけっこう疲れたが、レイトショーの雰囲気に合う作品でよかったなあ。これは昼より夜に見るべき映画。
感想はまたあとで出力するとして、きょうは寝よう。

#映画

「爆弾」のムビチケを映画館で購入した。
ムビチケを買うことで、「見たかったアレがもう始まってたのに、いつのまにか終わってた!」という機会損失を避けるのが目標。



と言いつつ、ムビチケを抱え落ちしたら笑ってしまうな。かなりあり得る。
手元に現物で存在することで、忘れづらくはなっているはず。絶対行くぞ!

#映画

「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 前編 青春狂走曲」を見に行く。
内容はすでに知っているのだけれど、劇場で見るライブパフォーマンスに心躍る。
物語としては、後編のほうが重要なパートが多めかな。
すばるちゃんが好きなので、すばるちゃん多めなのが嬉しかった。

帰りに智ちゃんとルパちゃんのアクスタを買った。まだ公開からそんなに経ってないのに、グッズもパンフもほとんど売り切れで、せつなかった。

後編も見に行くぞー。

#映画

明日は映画館に行く予定。



そう、ガルクラ総集編がはじまっているのだ。
はー、楽しみだなー。
推しの活躍に期待。
新作映像もあるといいなー。

#映画

「ガールズバンドクライ」の新作映画の公開が決まった。
総集編、見に行くぞ~!と思っていたけど、まさかの新作……!?
楽しみすぎる。
本編も見直したいなあ。

#映画



「ペリリュー ー楽園のゲルニカー」がアニメ映画化される。
かつて、途中まで一気読みして、続きが気になりながらも、あまりにも精神的にきつくてギブアップしたという漫画。
漫画の表現力の鋭さによって、この先を読みたくないとすら感じさせるのってすごいと思うんだよなあ。
絵柄に反して、描かれている現実は重い。
絵柄はファニー寄りなのに……という部分は、「総員玉砕せよ!」を思わせるかもしれない。

つらすぎて「火垂るの墓」を二度と見たくないと思うのと一緒で、つらくさせること自体が作品のパワーを示しているのだ、たぶん。
映画で見たら、たぶんもっときついだろうなあと思いつつ、彼らの行く先が気になっている。

#映画



少し前に、「海がきこえる」を初めて見た。
見たあとで、リバイバル上映が決まっていることを知ってすこし嬉しかった。
ファンタジーや考察の要素があまり好きではない自分が、スタジオジブリで一番好きな作品はおそらく「コクリコ坂から」なのだが、これもトーンとしてはやや近くて、好きだったなー。

日本アニメのよくない慣習として、人物が記号的すぎるというものがあると思う。(もちろんすべての作品がそうであるわけではない)
「海がきこえる」はそうした切り分けが少なく、人間の多面性を感じさせる作品で、好みだった。

「ツンデレ」「ヤンデレ」「クーデレ」などとキャラクターを細かく切り分けていくことがいろんなジャンルで当然のように行われているが、現実の人間は、そんな属性で切り分けられるものではない、と強く思う。
病んでいて落ち込んで自暴自棄になる日もあれば、人にやさしくできる日もあるし、急に不機嫌になって怒る日だって、あっていい。常にツンツンしているとか、ずっとトーンが暗いとか、一貫性があるほうがむしろ不自然だ。
そして、荒れている人に当たられた側も、なんの理由もなくそれを許していいし、あとから急に思い出して怒ったっていい。
実際、日常はそうやって、なんの脈絡もなく流れていくものだから。
そうした日常のコミュニケーションの風景を、描写をサボらず、記号化せず、情感を持って丁寧に映し出しているのが「海がきこえる」なのではないかと思った。
劇的に物語が動くことはないが、じわじわと事態が移り変わっていくさまが、とてもリアルだ。
ひとつひとつのシーンは「こういうこと、あるよなあ」というあるあるが詰まっているだけに、見ごたえがある。

定型化されていない、どこにでもいる、すこしだけ情緒不安定な女の子を描いたからこそ、「海がきこえる」は本当に青春を追体験させているような質感を持ってこちらに迫ってくる。
実写映画だとこういう作風のものはたくさんありそうなのだが、アニメという媒体に限ると滅多に見かけないし、うまく成功させるには描写力がかなり問われる気がする。
こういう作品、もっと見たいなあ。チャレンジするうまみは少ないんだろうけど。畳む


#映画

見に行きたい映画リストを作っていた。
・プロジェクト・ヘイル・メアリー(2026年)
・爆弾(10月31日)
・ガールズバンドクライ(10月3日)
・チェンソーマン レゼ篇(9月19日)



うんうん、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」、原作未読だけど絶対おもしろいよね。見たいよね。
ここまではリストとしてかなり順調だった。
だが、ここで乱入してくる珍客。



・劇場版ほんとうにあった怖い話~ゾクッ事故物件芸人~(8月1日)

内容的にはややダメそうな予感がするけど、大画面でフースーヤが見られるのすごいな。
大画面一発ギャグを見るためだけに劇場に行く可能性がある。
ある種、家で見ると冷静になってしまいそうだし、劇場で見るべきものなのでは……という気持ちでいる。お笑いのオタクが大量に劇場に集結するんだろうか。
この役にフースーヤをセットで起用するのがめちゃくちゃよくて、キャスティングだけで「いいね!」を押している。

#映画



「国宝」を見に行った。
息を止めて見入ってしまうような特殊な映画体験で、ポップコーンもジュースも必要ないのかもしれないと思うほど。
自分が飲み物を飲んでいる音が鑑賞の邪魔になるようなはりつめた感覚が、3時間、ずっと持続しているのが凄まじい。
魂をとられたような感じがして、見終わってからもぼんやりとしてしまった。
この役を演じきった吉沢亮、そしてその狂気的なまでに没入しきった吉沢亮に見劣りしない演技で、彼とは別の輝きを放つ横浜流星。すごすぎる。
これはスクリーンで見るべき映画だなと思った。

#映画

映画「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」を見る。
ほかの映画に比べると推理的には物足りない部分もあるんだけど、終盤「これでもか!」と言わんばかりに畳み掛けられる爆弾の連鎖はこの映画ならではだと思う。
逃げおおせたから大丈夫かと思ったら、また新しく爆弾が!?という流れ、何回やるんだ。
推理よりもアクション寄りな感じだけど、これはこれで好き。
黒の組織関連映画として、一番好きかもしれないな。
ジンの兄貴の、雑だけど確実な暗殺法で笑ってしまう。神経質なのに大雑把なんだよなあ……。
このあたりの年代の、歩美はコナンに恋をしていて、光彦は哀と歩美のどちらが好きなのか悩んでいて……という恋模様もよかったよなー。

今回、2023年の金曜ロードショーを録画したものを見直していたんだけど、「チチンペイペイソフトバンク」のCM、ドラマ「セクシー田中さん」のCM、小林製薬のCMがぜんぶ流れて、「これが、2年前の世界か……」という気持ちになった。この2年間、いろんなことがありすぎた。

#映画

「パティシエ探偵ハンナ~チョコチップクッキー殺人事件~」を吹替版で見る。
2015年の映画で、火曜サスペンス劇場風の地域密着型コージーミステリ。パティシエ探偵シリーズの第一弾。
ミステリ好きだけど、こういうタイプのコージーミステリはあまり触れてきていなくて、新鮮だったなー。
まったりと流すのにちょうどよくて、ほんのりと進行していくロマンス要素も好みだった。
こういうテンションの映画は吹替版だと気楽に見られていいよな~と思うんだけど、2作目以降は字幕版しか見当たらなくて、ちょっと残念。

#映画

金曜ロードショーの「名探偵コナン14番目の標的」を見た。
何度目かわからない視聴だけど、盛りだくさんでおもしろいよなー。

主要キャラが犯人に命を狙われるのは劇場版を熱くする鉄板の展開だけど、毛利小五郎に関する人物が片っ端から狙われるという、劇場版2作目だからこその大盤振る舞いが凄まじい。
これだけ大量にメインキャラが怪我したのは、かなり珍しいのでは。

おとなになってから見ると、犯人の異常な行動力や、名前に数字が入った登場人物がぞろぞろと一箇所に集まってくる様子に笑ってしまうのだが、それでも畳みかけるサスペンスのおもしろさは変わっていないと思う。

すべて終わったあとから考えても、やりたいことと、それに付随するやらなきゃいけないことの量のバランスがぜんぜんとれていなくて、「もっと楽に目的達成、できるよね!?」「なぜ、わざわざそんな危険な橋を渡る!?」とツッコみたくなる。そんな名犯人。
「そもそも、絶対に殺したいほど憎い相手はひとりだけで、それ以外はついでなんでは!?」と思うんだけど、このひとりを殺すために、ついでのターゲット(まったく関係ない人や面識のない人もいる)を用意しているのがすごいよな。
ぜひ、「犯人たちの事件簿」をやってほしい。絶対盛り上がるから。

ターゲットをたくさん作るために、しょうもない動機がちょこちょこ出てくるんだけど、「くだらない動機で人を大量に殺そうとするヤバい人」としてキャラが立ってるのがいいよなあ。
動機のことで映画の評価が下がっているのをちょこちょこ見かけるんだけど、これはこの動機だから生きてくるキャラだと思う。
目暮警部も動機の幼稚さについて言及しているし、明らかに意図的。

事件の謎とは別に、「拳銃の名手である毛利小五郎は、なぜ犯人ではなく自分の妻に当たるように発砲したのか?」という、全編を通しての大きな謎があるのもセンスよくて好き。畳む


#映画

「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」を見に行った。超おもしろい!
盛りだくさんのエンタメ大作だった。



帰ってきて、信一さんが城砦を案内してくれる動画を見ていた。
凝ってて楽しいな……城砦の一員になったら楽しそうだな~と思ってしまう。危険な動画。

#映画



映画ドラえもんのエンディング総集編が公式チャンネルに来ていた。
どれもお気に入りだけど、ダントツで好きなのは「創世日記」と「ひみつ道具博物館」。
このふたつは、エンディングで本編の流れをまるまる遡るという構成が好きなんだよなー。

本編の振り返り映像が流れるだけのタイプのものは損した感じがして苦手なのだけれど、「創世日記」は本編を「のび太(としずかちゃん)の書いた絵日記」として再構成するところがおもしろい。
「ひみつ道具博物館」は映像的には振り返り系だけど、登場したひみつ道具の紹介をするというコンセプトが映画にぴったりでお気に入り。

曲としては「ドラビアンナイト」と「ブリキの迷宮」と「南極カチコチ大冒険」が好き。
特に、ドラビアンナイトでの「夜汽車はゆく 星くずの中 汽笛を鳴らして」のところと、ブリキの迷宮での「素敵な想い つなぎあわせて 少しずつ出来るネックレス 誰にも見えない私の宝石」のところ、歌詞もメロディも大好きすぎる。思い出の曲。

#映画

「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」を見た。

いろんな場所で絶賛されていて、前から気になっていた映画。傑作だった。
ままならない人生の断片をつなぎ合わせたような、ヒューマンドラマ。
ひとつひとつのシーンがきれいに論理的につながることはなくて、ぶつ切りのような状態で並べられているのだが、それが逆にリアルな人生の折り重なりを感じさせて、めちゃくちゃ好きだった。

それぞれ、別の理由でコミュニティから弾き出されている人々が、クリスマスとお正月のあいだだけ、期間限定の疑似家族として過ごす。
その時間がとてもあたたかくて、儚くて、泣きそうだった。

助演のドミニク・セッサがとても存在感のある演技と顔つきで、他にもいろいろな作品に出ている人なのかな〜と思っていたら、なんとこれがデビュー作らしい。すごいなー。

#映画

映画「ラストマイル」を劇場に見に行った。
塚原あゆ子&野木亜紀子のタッグ。そして「アンナチュラル」と「MIU404」から地続きの物語ということで、その期待に答えられるだけの完成度だったと思う。
以下、ネタバレありのざっくりとした感想。

忠実に2作品の世界観を引き継いでおり、社会によって奪われていく命や権利、虐げられていく人々の姿を的確に捉えている社会派サスペンス。
人々の欲望と大手外資企業による策略が、弱者を虐げ、健康に生きる権利を奪う。
いくつかの革命によって、ちょっとずつ状況は好転していくが、欲望が搾取につながる構造自体にはなにもメスが入っていないし、根本的にはなにも変わっていない。
惨劇の現場に余裕のない表情で立つ五十嵐と、センター長として責任を握らされる梨本の姿を順番に見せることで、「また似たような犠牲者が出るのかも」と思わせる、ラストのイヤ~な含みは本当に見事。
社会問題について視聴者に考えさせるためにも、これくらいイヤな後味を残したほうが、社会派としては意義のある作品になる気がする。

でも、これまでの世界観に忠実だからこそ、尺の物足りなさはあったかもしれない。もっと詳しく見たい、という感覚。
2時間という短い尺のなかで、サスペンス的なギミックの開示にかなりの時間を割いていて、「MIU404」ほどには弱者たちの叫びや社会に深く刺さる刃のような文脈を感じられなかったのは惜しい点のひとつ。
個人的な好みとしては、生活が苦しいであろう派遣社員たちの描写が粗かったのはもったいないと思った。ただ、ここは、わざと描いていないのかもしれない。

犯人の心情についてももっと掘り下げがほしかったなと最初は思ったのだけれど、よくよく考え直してみれば、「アンナチュラル」は「不幸な生い立ちなんて興味はないし、動機だってどうだっていい」と、ラスボスに対して安易に物語性を付与する行為を拒否するお話だった。
そして、「MIU404」は逆に、ラスボスの側から陳腐な物語化を拒否するという話だった。
それを踏まえて考えてみれば、今回の真犯人の物語がそこまで語られていないことにも納得がいく気がした。

真犯人によるお涙ちょうだいの語りは、社会や企業によって与えられる痛みを、単なる個人の問題として矮小化してしまう装置だ。徹底してそうした語りを行わないことで、「わかりやすい物語になんてしてあげない」、「加害を行った人間や、そこに至るまでに起きた問題を美化しない、安易に飲み込ませない」という方針なのだと思う。
犯人が、どうして無差別に爆弾を送りつけたのか。
そして、どうしてすべてを見届ける前に自殺したのか。
それらの理由は視聴者が勝手に想像するものであって、物語として食べやすく料理して渡されるものではないのだ。
なんとなく想像はつくけれど、想像の域を出ないし、違うかもしれない。
「ちゃんと教えてほしかった」という感想も出そうだけれど、ここはあえてわからないようにしているのではないかと思った。

他にもいろいろ書きたいことはあるけど、まだ頭のなかで感想がまとまっていないので、きょうのところはメモ書き程度にこれだけ残しておこうと思う。
パンフも買って読みたいな~と考えつつ。畳む


#映画

アニメーション映画「音楽」(2020年)を見た。
主演が坂本慎太郎ということで、坂本慎太郎ファンとしてはいつか見なければと思っていた。ようやくの鑑賞。



三人の不良が思いつきで始めたバンド「古武術」がフェスに出るまでのお話。
単なる思いつきであり、音楽の知識もないため、彼らの奏でる音色は、およそ「音楽」とは呼び難い代物になってしまう。
しかし、本人たちは、その演奏を「最高の音」だと呼び、ブチ上がる。自己肯定感の塊なのである。
さらに、校内でフォークソング専門のバンドを組んでいる「古美術」から絶賛されたことで、「古武術」は地元のフェスに出ることになってしまう。
はたして、音楽知識のない三人組はフェスで成功をおさめることができるのだろうか!?

バンド結成ものとしては異色の展開であり、シュールギャグと捉えられなくもないのだが、ロックの初期衝動に従い、挫折することもなく、自分の信じる「最初の音」だけを武器に突き進む三人の姿は、感動的ですらある。
「ガールズバンドクライ」にしろ、「BLUE GIANT」にしろ、「ふつうの軽音部」にしろ、音楽ものの作品は、自分が下手であることや、周囲から評価されないことに思い悩み、鍛錬を重ねなければいけないというセオリーがあるのだが、「音楽」はそうしたセオリーにはまったく縛られることがない。「初めて音が鳴った! おれが鳴らした!」という、たったひとつの感動が彼らの原動力なのだ。
その音を他者と比べて落ち込むことはないし、それが下手だという価値観すら持ち合わせていない。成り上がる必要もない。
自分が自分を肯定している。それだけで十分すぎるくらい、十分だ。
これがロックでなくて、なにがロックだろうか?

また、「音楽」において非常におもしろいのは、「古武術」をフェスにまで押し上げてしまった「古美術」の森田さんの存在である。
フォークソングを愛する森田さんは、今までずっと自分の音楽を信じ、鍛錬に鍛錬を重ねてきたはずだ。
しかし、「古武術」の演奏を聞き、彼らの生き方を見ることで、ロックに目覚める。
「古武術」の原始の音が、森田さんの人生を変えていく瞬間こそ、「音楽」の最大の見所なのではないかと思う。
音楽には、他者を変えてしまうほどの強烈なパワーがある。そのパワーは、鍛錬を重ねたから生まれるわけではないし、演奏が上手だから生まれるわけでもない。
ただ、ロックであること。そこに強い衝動があること。それだけが誰かを動かす力になるのだ。
不良たちが元通りの日常に戻っていったとしても、森田さんのなかに生まれたロックの炎は消えないだろう。
森田さんこそ、「音楽」の裏の主役であると信じている。畳む


#映画

黒沢清監督の「回路」(2001年)という映画を見た。
インターネットという装置を駆使したジャパニーズホラーではあるのだが、そちらは本筋ではなく、実際のところは死生観を揺さぶる哲学系映画だと思う。
黒沢監督は「CURE」や「散歩する侵略者」が好きだった気がする。このふたつもやや哲学系だったような……。二作品ともそろそろ詳細を忘れてきたので、そのうちにまた見たい。

「永遠に孤独なまま存在しつづけるということは、ただ死ぬよりもつらいことだ」というような結論を出しているっぽいようなところには、ついこのあいだ久しぶりに見た手塚治虫「火の鳥 未来編」のマサトの深すぎる孤独を思い出した。
「回路」に出てくる幽霊たちは、みんなマサトと同じ状態なのかもしれないよなー、と思うと怖い。
「永遠に生きる(永遠に死んでいる)」こと自体は苦ではないけれど、そこに「孤独」が加わると非常に深い苦痛に変わるのかもしれない……と考えさせられる。

また、生きている人間とも会話であまり分かり合えていないという絶望感も、幽霊たちの孤独な気持ちを補強しているような気がして、細やかだ。丁寧に積み重ねられた孤独が世界を埋め尽くしていくのは、爽快ですらあるかもしれない。

不安を煽るアングルや不気味な舞台装置がうまく作用している映画で、ジャンプスケアに頼らずに怖がらせる演出が楽しかった。
直接的な暴力描写がないということも含め、良質なホラー映画だと思う。
こういう上品めなジャパニーズホラー、他にも見たいな。畳む


#映画

「リベリオン」(2002)というアクション映画を見た。
個人の感情が政府によって管理された未来の警察国家で、ひそかに感情に目覚めてしまった男の反逆を描く。
「アメリカン・サイコ」が大好きで、クリスチャン・ベールはこの役が一番好き!!と思っていたのだが、「リベリオン」も「アメリカン・サイコ」の主人公と同系統の演技っぽくてよかった。
かなり変人で、どこかロボットめいているんだけど、愛嬌があって憎めない感じ。いいんだよなー。

物語的にはややガバガバなところもあり、ツッコミどころも多々あるのだが、アクションのコンセプトが最高すぎて、なんの文句もない。
犬のくだりをはじめとする「シリアスな笑い」も完備していて娯楽として上質。
演出もおしゃれで、独特のアングルが気持ちよかった。
ガン=カタのことは知っていたけど、実際に元ネタを見たのは初めてだったので、「こ、これが噂のガン=カタ……!」と震えることとなった。
ほぼほぼカンフー映画に似た文法で描かれている気がして、カンフー映画好きとしてはかなりハマった。また忘れたころに見たい。

#映画

よくある、「個人的ワースト映画10」みたいな企画に憧れる。
ベスト映画もおもしろいけれど、ワースト映画には、その人にとって映画とはなんなのか、なにを重視しているのかなどが現れているような気がして、単なる悪口以上の、書き手の人生そのものを感じるのだった。
嫌いなものの話はしないほうがいい、というのが趣味の鉄則ではあるのだが、映画については他人のワーストを見るのも楽しい。
万人が褒め称える映画でも、自分にとってはつまらなかった、ということはよくあるし、共感できる。見たときの自分の体調や相性にもよると思うし。

だが、自分でワースト映画について考えてみると、いまいちなにも思い浮かばない。
何本かは浮かぶものの、10本には程遠いような気がしてならない。
つまらない映画や不快な映画はすぐに忘れてしまう脳なので、いざ思い出そうとしても、すっと出てこないのだった。
映画記録帳を見ながらなら、なんとかひねり出せるかもしれない。
10本ひねり出せたら、ここに書き留めておくか。

#映画



「金の国 水の国」というアニメ映画を見た。
原作は未読だが、岩本ナオさんは前々からかなり気になっていた。
「町でうわさの天狗の子」をむかし途中まで読んでいて、少女漫画らしからぬ、枠をはみだしたような作品が来た!と思っていたのだった。

「金の国 水の国」も、ふたりの男女のラブストーリーでありながら、主軸は国交の断絶した両国を戦争させずに取り持つことだったり、ふたりが会っているシーンは極端に少なかったりと、チャレンジ精神を感じる構成になっている。

裕福だが、水だけがない金の国。
過去の戦争の被害から回復しておらず、貧しいが、水源だけは豊かな水の国。
互いのマイナス面を補うため、再度の戦争に突入しそうになっている緊迫の状況へと、国家間の謀略に巻き込まれ、偽りの結婚をしたふたりが立ち向かう。
サーラとナランバヤルは美男美女のカップルではないのだけれど、ふたりとも誠実で、好感が持てる。
特に、ナランバヤルの欠点のなさは凄まじい……こういう、昔の少女漫画で当て馬にされていそうなタイプのキャラを、ちゃんと魅力的な主役として育てているのがいいなあ。
作中では、サーラが決して美人ではないということがしっかり明言されていて、それに関しての鬱展開もあるんだけど、ここまでヒロインの美醜が物語に関わってくるのって珍しいなー、と思った。逆に「美人すぎてコンプレックス」みたいなのはありそうだけども。
作画や演出の平均点も高めで、満足感のある映画だったと思う。
丁寧にエンタメに徹する良作。

#映画

アニメーション映画「犬王」を見た。
野木亜紀子さんが脚本ということで、ずっと見たかったのだが、見る機会を逃していた。
平家の呪いを背負い生まれた異形の子『犬王』と、平家の呪いで盲目になってしまった『友魚』。犬王は猿楽を極め、友魚は琵琶を極める。
ふたりは前衛的ともいえるパフォーマンスで一躍名声を得るが……という話。

ミュージカルパートが非常に長いので好みは分かれそうだが、室町時代の閉塞感や階級社会の絶望、世の中から退けられる身体障がい者としての『犬王』と『友魚』の表象など、ひとつひとつの描写が丁寧な映画だと思う。
はじめは名前にこだわりを見せなかった友魚が、名声を得、物語への執着を見せると同時に、自分の名前を命をかけて守るようになるのが興味深かった。

ただ、音楽はもうちょっと室町時代でも演奏できるような音で構成してほしかったし、最初に異形の姿のままで舞い踊る犬王がすごく魅力的だったから、どんどん人間に近づいていくのは淋しくもあった。
これも諸行無常なんだろうか。最後にはまたあの姿で踊ってくれて、嬉しかったな。

キャスト勢の名演技もすごくハマっていて、見ごたえあったと思う。
森山未來&アヴちゃんのハマりっぷりは凄まじいし、ツダケンもかっこよすぎる。
最近のツダケンはクールで感情抑えめな役が多い印象があるけど、こういう感情が乗っかりまくったヒールもいいよなあ。畳む


#映画

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を見た。
セカイ系で育った世代にとっては、教科書のなかにしかないような作品で、今まで見る機会がなかった。
改めて見てみると、たしかにセカイ系の気配を感じる映画だった。
特に「涼宮ハルヒの憂鬱」に関しては、ほとんど「ビューティフル・ドリーマー」の発想のまんまなのでは?というほどに影響を感じる。

ただし、個人的にはこれ自体はセカイ系ではないと思った。
「どうしてコンビニの物資がなくならないのか?」「どうして電気と水が供給されるのか?」という客観的で冷静な視点は、セカイ系作品とは相容れないものだという感覚がある。
内的世界と現実世界の境界がなくなり、思春期の少年少女の内的な感傷が現実の状況に直結してしまうような世界観……というのが、やっぱり狭義でのセカイ系かなと思う。社会の描写が極端に希薄である感じ、というか。
『セカイ系』はもはやマジックワードの代表格なので、こうやって定義を云々することそのものが無意味かもしれないけれども。
「モラトリアムが永遠に続けばいいのに」という感覚はかなりセカイ系っぽいのだが、そこにモラトリアム(=日常系ラブコメの作品構造そのもの)へのメタな悪意のようなものが潜んでいるのは、戦略を感じさせすぎて、あまりセカイ系っぽくない。
「ビューティフル・ドリーマー」の夢のパートだけを抽出して煮詰めた結果が、かつてのセカイ系なのかな、と思う。

作画や不気味な演出は非常に印象的で、絵的に見ごたえのある映画ではあるのだが、この話は「うる星やつら」でやる必要性はないのではないか、という余計な思考が入り込んでしまい、シナリオについては絶賛とまではいかなかった。
自分は「うる星やつら」には明るくないのだが、それでも、このラムちゃんには違和感がかなりある。
なにより、日常系ラブコメの世界を破壊して、ツギハギして『永遠の円環』をつくるという発想はあまりに邪悪であり、こういう攻撃的な創作手法はやや苦手だ。
と言いつつ、「ルパン三世 カリオストロの城」のようなもので、何度も見ていったらすごく好きになりそうな気もする。
カリオストロの城も、ルパンとしては本当に嫌なんだけど、映画としては見ごたえあるんだよな。畳む


#映画

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